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「早く家を出たい」長男教の母との確執
山梨県出身の望月茜さん(42歳・仮名)は、都内で一人暮らし。母親(72歳)との関係は昔からぎくしゃくしており、特に弟(35歳)ばかりを庇(かば)う母の態度に悩んできました。いわゆる“長男教”で、小さい頃から自分と弟の扱いの違いに複雑な思いを抱いてきたといいます。父は数年前に亡くなりました。
「早く実家を出たい」と思った決定的な出来事は、茜さんが高校生の頃、母から「うちから通える国立以外の進学は許さない」と言われたことでした。その話を聞いた高校の担任は自宅まで駆けつけ、「娘さんの学力なら都内の有名私立や国立も夢じゃありません」と必死に説得。茜さんは何とか奨学金を利用して都内の国立大学に進学し、大学院まで進んだため、現在も毎月2万円の奨学金を返済しています。
上京してからというもの、茜さんはほとんど実家には帰っていません。都内で1LDKのマンションを購入し、自由気ままな独身生活を送っています。収入は同世代の女性に比べて高めですが、今後も基本的に一人で生きていくことを考えると無駄遣いはできないといいます。
「弟は地元の大学に進学しましたが、理由はよくわからないまま退学。その後、母が親戚のツテを頼って探してきた会社に就職し、そこで出会った人と結婚しました。姪は今、幼稚園の年中さんです。祖父のお葬式でまだ赤ちゃんだった姪を見たことがありますが、それ以来会っていません」と茜さんは語ります。
「姪のランドセル代を出してほしい」母からの電話
ある日、母から信じられない電話がありました。
「姪のランドセル代をお姉ちゃんに出してほしい。今まで姪には何もしていないんだから当然よ。これで今までのお祝いがないこともチャラにできるなら安いことよ」
思わず「何を言っているの?」と耳を疑った茜さん。電話をどう切ったかは覚えていませんが、沸々とした怒りが込み上げてきたといいます。その後、冷静になってランドセルの相場を調べたところ、10万円近くするものもあることを知りました。
「友人からラン活について話は聞いていましたが、私が普段持っている通勤カバンと同じくらいの値段でびっくりしました。まあ、6年間使うなら今時はこんなものなのか、と変なところで納得してしまいました。色もバリエーションがあってオシャレなランドセルもあるんですね。でも、ろくに会ったこともない姪のためにランドセルを買う気はさらさらありません」と茜さん。
「母は自分の年金と遺族年金を合わせて月におよそ11万円で暮らしています。自宅は持ち家でローンは完済し、弟一家が近所に住んでいるものの、決して生活は楽ではないと思います。まして6、7万円もするランドセル代なんて、今の母にとっては相当な負担。それで私に泣きついてきたんだと思います」と淡々と語ります。
その後、茜さんは母の要求をキッパリと断りました。すると母は激怒。これをきっかけに、実家との縁を切る決断をしました。茜さんは「後悔はしていません」と話します。
