(※写真はイメージです/PIXTA)

「老後は“持ち家”で安心」という神話は、時に現実とずれていることがあります。とくに郊外に広い一戸建てを構えた世代では、定年後に“広すぎる家”や“空間の孤独”に向き合うことになり、売却を選ぶケースも増えています。住宅ローンを完済していても、それが「安心」の証とは限らないのです。

ついに決断。手放した先にあったのは「意外な安心感」

2人は話し合いの末、この家を3,500万円で売却し、駅近の築浅マンション(2LDK・賃貸)へと引っ越しました。

 

「売却益を老後資金に回せたことも大きいですが、駅から近く、病院やスーパーも徒歩圏内。冬は暖かく、光熱費も半分以下になりました」

 

また、「“持ち家”という責任から解放されたことが、一番大きかった」とも語ります。

 

「持ち家こそ安心」という意見もありますが、以下のような動きも増えています。

 

●「老後の利便性」を求めて、郊外の家を売却し、都市部に賃貸で住み替える高齢者

●子の同居を前提に、売却して二世帯住宅を新築するケース

●相続時に空き家にならないよう、あらかじめ売却・整理する動き

 

「これから家を持とうと考えている人も、すでに持っている人も、“一生ここに住む”という思い込みだけでは危ないかもしれません」

 

そう話す恵子さんの言葉には、暮らしに合わせて“住まいの形”を柔軟に見直す重要性が滲んでいます。

 

「手放す=失う、ではなかった。むしろ“暮らしの選択肢”を増やすことだったんです」

 

住宅ローン完済はゴールではありません。その後の生活にこそ、慎重な選択が求められるのです。

 

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