(※画像はイメージです/PIXTA)

金(ゴールド)の価格が10月21日、前日比5.5%急落し、1日の下落幅としては過去10年余りで最大を記録した。とはいえ、金価格は年初来で主要通貨建てすべてに対して上昇し、4,000ドルを突破しており、長期的な上昇トレンドに変化はないといえるだろう。この背景には、米ドル安の見通しや新興国中央銀行の買いなど、複数の構造的要因が重なっていると考えられます。10月の金市場動向から、高騰を支える要因と今後の展望についてみていきましょう。なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの4名のストラテジストによる共同執筆です。

金価格は「すべての主要通貨」で大幅に上昇

◆「米ドル安」確実視が、金価格を後押し

金価格は年初来ですべての主要通貨建てで大幅に上昇していますが、「解放の日」以降は米ドルに対して最も上昇しており、特にスイスフランやユーロと比べてそれが顕著です※9

 

これは、米ドル安ヘッジが活発化していることと、中期的な米ドル安見通しがコンセンサスとなりつつあることを示唆しています。金は主に米ドル建てで取引・価格設定されるため、米ドル安はデノミネーション効果を通じて金価格上昇に直結します。米景気の縮小や現政権の米ドル安志向は、金などの代替資産への需要を後押しします。

 

FRBが利下げサイクルを再開するなか、金価格は主として以下に挙げる2つの経路を通じて下支えされる可能性があります。

 

(1)無利息資産である金を保有することの機会費用の低下、

(2)米国債イールドカーブがさらにブル・スティープ化する可能性(総合的にみて米ドルにとってマイナス要因となります)。

 

◆金利差により、ユーロ建てよりも「ドル建て」が有利に

金利差により、機関投資家にとっては対ユーロよりも米ドルでの金のロングが有利となる可能性があります。米ドル安見通しがコンセンサスであり続ける限り、国内外双方の投資家から金に対してより強気なポジションが構築されると予想されます。

 

出所:ブルームバーグ・フィナンシャルL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント データ期間:2005年1月~2025年9月
[図表2]世界の金ETFへの資金流出入の推移 出所:ブルームバーグ・フィナンシャルL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント
データ期間:2005年1月~2025年9月

 

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〈注釈〉
※1 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※2 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※3 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※4 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※5 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※6 Source: Automatic Data Processing, Bureau of Labor Statistics, State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※7 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※8 Source: World Gold Council, State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※9 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※10 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※11 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※12 Source: World Gold Council, State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※13 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※14 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※15 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.
※16 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 9/30/2025.

〈用語集〉
・中央銀行……国または国家連合のために、貨幣および信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関。

・COMEX……コモディティ(主に金、銀、銅、アルミニウム)の先物を取引する市場。

・金のスポット価格……スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。

・LBMA午後金価格(米ドル/オンス)……LBMA金価格はIBAが独立して管理し、価格算出のためのオークション・プラットフォームを提供していますが、知的所有権はLBMAに帰属します。プラットフォームは、電子的に取引および監査が可能で、証券監督者国際機構(IOSCO)の金融ベンチマークに関する原則に沿って設計されています。

・実質金利……インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。

・米連邦公開市場委員会(FOMC)……米連邦準備制度内にある委員会で、金融政策を決定します。

・解放の日……広範にわたる関税措置の実施について、米貿易政策の転換点という位置づけを象徴するために用いられた言葉。米国の産業を海外の製造業への依存から「解放」し、貿易不均衡を解消するという考えを反映しています。

・脱ドル化……各国が国際貿易、金融取引、外貨準備における米ドル依存を減らすプロセスで、多くの場合、その背景には地政学的動機、制裁リスク、自国通貨の主権確保の取り組みがあります。

・関税……外国から輸入される財とサービスに国が課す税金で、通常、財政収入を拡大するため、あるいは国内産業を海外との競争から守るための手段として用いられます。【ご留意事項】
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。
本稿に示されている見解は2025年9月17日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わる場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。
提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位または投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。
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本資料は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

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8430467.1.1.APAC.RTL  
Exp date:9/30/2026

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