〈カローラより約100万円安い〉衝撃価格。中国自動車市場を価格破壊した“激安PHV”が2026年日本上陸…「もう競争力を維持できない」日系メーカーの悲鳴

〈カローラより約100万円安い〉衝撃価格。中国自動車市場を価格破壊した“激安PHV”が2026年日本上陸…「もう競争力を維持できない」日系メーカーの悲鳴
(※写真はイメージです/PIXTA)

中国の新車市場で、価格競争がかつてないほど激化し、日本車メーカーもその渦中で悲鳴を上げている。火蓋を切ったのは米テスラのEVだが、現在は中国最大手BYDが「ガソリン車より安い」PHV(プラグインハイブリッド車)を投入し、市場は赤字消耗戦の様相を呈している。この中国市場の価格破壊を主導し、日系メーカーを苦しめる「激安PHV」が、2026年にも日本市場へ投入される予定だ。本稿では、湯進氏の著書『2040 中国自動車が世界を席巻する日』(日本経済新聞出版)より、価格競争の背後にある市場構造の変化と、EV・PHVの可能性をみていく。

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EV鈍化とガソリン車離れで、「PHV」に集まる熱視線

中国のNEV販売台数は2024年に1286.6万台に達し、2019年の10倍となった。補助金の終了に伴い、EV販売台数の前年比伸び率が16%となり、鈍化傾向にあるなか、PHVは同83%増と大きく成長した。2021年からPHVの販売台数は増加しはじめ、中国のNEV市場に占める割合は2019年の19%から2024年には44%へと上昇した。

 

PHVが伸びている背景には、中価格帯市場での変化がある。長距離走行が可能なEVはコストの高い大容量電池を採用するため、車両価格が高くなりがちだ。そこにEV向けの補助金減額・終了も重なり、価格面でEVの魅力は薄れた。また、充電インフラの整備がまだ途上であることから、EVよりも航続距離が長く値段の安いPHVに、これまでガソリン車に乗っていた消費者が大挙して流れ込んでいる。

 

1つ目は、ガソリン車に対するコスト競争力を実現したこと。専用の高効率エンジンを含む複雑なパワートレインの開発に加え、エンジン車にコストで対抗するのは容易ではないというのが、これまでのPHVの常識だった。

 

しかしBYDの「秦PLUSDM-i」はNEVのため購入税10%が免除になる一方、売却までの走行距離を8万kmと仮定すると、ガソリン代より電気代のほうが約2万元安い。車両価格は3割ほど安いので、それらを合計すると約6万元の差になる。これだけの差がつくとガソリン車は勝負にならない。

 

2つ目は、EVに対する利便性。電池は低温時には使用可能な容量が大幅に低下し、走行距離が短くなる。中国汽車技術研究中心(CATARC)が2024年にNEV45モデルに対し、テスト調査を行った。多くのEVの航続距離はカタログ値の4~5割にとどまっている。寒冷環境下では充電時間も長くなり、長距離移動の利便性は大きく下がる。PHVはこうした場合でもエンジンを使って電池の走行距離を補える。

 

また消費者調査の結果をみると、「車両品質」「安全性」「動力性」などの項目では、NEVが内燃機関車と遜色ない評価となった。一方、「航続距離」「車両制御」「乗り心地」など、消費者の関心度の高い項目ではNEVに対する評価が低い。

 

CATARCの予測によると、2030年時点の中国乗用車市場構造では、EVが42%、PHVが28%、内燃機関車は30%となり、そのうち、PHVの割合は2023年の11%から2030年には28%へと上昇する。確かなのは、短期的にはこれまでガソリン車を購入していた消費者が、EVより走行距離とコストのバランスがとれたPHV市場に流れるということだ。

 

一方、電池技術の革新による長距離化と充電時間の短縮、電池交換式EVの増加などに伴い、10年後の電動化市場ではEVが依然主役であり続けるとの見方もある。

 

 

湯 進

みずほ銀行

ビジネスソリューション部 上席主任研究員

 

 

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※本連載は、湯 進氏による著書『2040 中国自動車が世界を席巻する日』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

2040 中国自動車が世界を席巻する日

2040 中国自動車が世界を席巻する日

湯 進

日本経済新聞出版

BYDの実力、群雄割拠の各社の戦略、CATLが見ている未来……。 知能化でどう変わるのか、産業政策の実態は、日本企業は2040年の市場で勝てるのか――。電動化を追い風に爆発的に成長した中国自動車産業。本書は、成長を生み…

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