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「油電同価」を超えた「電比油低」…ガソリン車より低価格、BYDの価格破壊
中国では、ボリュームゾーンとなる中価格車(10万~20万元)がガソリン車市場全体の半分を占めている。そのため日米欧各社は、そのセグメントで競争力を構築することが最も重要だ。
2024年2月、BYDは「電比油低(電動車がガソリン車より安い)」を打ち出し、PHVの価格破壊でガソリン車のボリューム層マーケットを刈り取ろうとしている。2024年モデルを意味する「栄耀版」のNEV計3モデルを発売し、価格競争の口火を切った。
なかでも主力PHV「秦PLUSDM-i」のベース価格は7.98万元となり、同セグメントの日本車のロングセラーであるトヨタ「カローラ」や日産「シルフィ」と比べると、約2割安くなっている。
BYDに追随して長安汽車、上汽GM五菱汽車、吉利汽車もPHVの大幅な値下げに踏み切った【図表1、2】。ある日系自動車メーカーの幹部は「中国勢のPHVの突撃で、ガソリン車の競争力を維持できなくなる」と戸惑いを隠さない。
電池も車体も自社製…BYDの“徹底ぶり”に競合は悲鳴
BYDの価格競争力の高さは、まず同社が電池メーカーであることが大きい。リン酸鉄リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」を独自開発。電池に加えて、パワートレインや内外装部品を含めた垂直統合型の生産体制を構築し、車両のサイズごとに共通のプラットフォームを採用することで大幅なコストダウンを図っている。
2024年6月に重慶市で中国自動車サミットが開かれ、議論の中心となったのは値下げ競争だった。BYDの王伝福会長は「市場競争は産業発展のパワーだ。優れた中国企業は淘汰のなかで生まれる」と述べた。
一方、広州汽車のトップは「赤字が続く価格競争には出口がない。油電同権(ガソリン車と電動車が同じ権益)を実施すべきだ」と行きすぎた価格競争の是正や電動車を優遇する政策の見直しを呼びかけた。吉利汽車の李書福会長も「過度な価格競争は不正行為をもたらし、市場の公平な競争秩序を乱す」と警鐘を鳴らした。

