知識不足が“脱税の温床”に…2026年以降、「売上600ドル以上で申告義務」へ。厳格化するアメリカ税制と、日本にも共通する申告制度の“盲点”【国際税理士が解説】

知識不足が“脱税の温床”に…2026年以降、「売上600ドル以上で申告義務」へ。厳格化するアメリカ税制と、日本にも共通する申告制度の“盲点”【国際税理士が解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

日本でも副業やフリーランスなど働き方の多様化が進むなか、アメリカでも近年、個人事業主やギグエコノミー労働者に対する報告制度や申告義務がより厳格化しています。そこで本記事では、日本と異なるアメリカの税制と、日米に共通する制度上の課題についてみていきましょう。

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知識不足が“脱税の温床”に

Form 1099-Kを受け取らない場合でも、所得があれば「納税申告(確定申告)」を行う義務があります。しかし、実際には多くのギグエコノミー労働者が申告を怠っており、脱税の温床となっているのが現状です。

 

たとえば、IRSの調査によると、Form 1099-MISCを受け取った労働者のうち「無申告」はわずか7%だったのに対し、Form 1099-MISCを受け取っていない労働者の場合、63%が無申告だったと報告されています。

 

また、ギグエコノミー労働者の69%が、税務に関する知識が不十分であるとも指摘されています。

日本とアメリカの税務環境の共通点

ギグエコノミー労働者が自営業者として所得を申告する場合、米国ではForm 1040の「Schedule C(事業所得・損失)」を使用します。この申告では、車両費や通信費、修繕費といった必要経費を控除することが可能です。

 

ただし、Schedule Cで算出された事業所得(純利益)に対しては、自己負担となる社会保障税(Self-Employment Tax)や給与税(Payroll Tax)などが課されるため、申告には一定の知識と準備が求められます。

 

日本においても、非正規労働者や個人事業主の所得を正確に把握することは容易ではなく、税務職員の人手不足や少額課税にかかるコスト(いわゆる微税コスト)が問題となっています。

 

こうした労働者の所得を適切に把握し、適切に課税するための制度や体制が十分に整備されていない点は、日本とアメリカに共通する課題であるといえます。

 

 

奥村 眞吾

税理士法人奥村会計事務所

代表

 

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