両親の仏壇をどうすればいいのか
健一さんと雄二さんは、家族葬で父親を見送ったあと、実家の整理を始めました。
母が亡くなって以来ほとんど訪問しなかった家はひっそりとしており、どこもかしこも薄くホコリが積もり、空っぽの鳥かごはリビングの隅に置かれていました。
リビング隣の父親の書斎にいた雄二さんが、「兄ちゃん、ちょっと来て…」と健一さんを呼びました。
書斎には仏壇が置かれ、そこに飾られた母親の写真の隣には、黄色と緑のリボンがついた陶器の小箱があり、正面に「ピーちゃん」と父親の字で書かれていました。仏壇の花入れには、母が好きだった薄いピンクのバラが直立したまま枯れかかっていました。
健一さんは机にあった父親の日記を開きました。天気の記載がほとんどでしたが、ところどころにメモがありました。
「○月○日 長男・健一 誕生日 41歳」「○月○日 次男・雄二 誕生日 39歳」「○月○日 孫・はるか 誕生日 7歳」「○月○日 妻・幸子 命日」…
「お父様、本当にお気の毒だったわよねぇ」
帰宅後、健一さんは、二世帯同居の母親からかけられた言葉に、説明できない違和感と不快感を覚えましたが、あいまいに頭を下げてその場をやり過ごしました。
「もっと父のことを、気にかけていればな、と後悔しています」
健一さんと雄二さんは、もう暮らすことのない横浜の実家を売却し、遺産は2人で均等に分けることにしました。
「問題は仏壇です。父が母のために買った、膝に抱えられるほどの小さなものなので、できることなら引き取りたいですが…。妻の親の家に持ち込むわけにはいかない。弟の家も、奥さんが嫌がっている。手放すしかないのか…」
不動産会社との相談が進む一方で、結論はまだ出ません。健一さんの両親がいる仏壇は、空き家となった実家にひっそりと置かれたままになっています。
参照:国土交通省資料『既婚者とその親との住まい方-「近居」を中心とした実態と将来意向-』/「今考える『住まい』のリテラシー」(2024年7月第1版)
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