手取り20万円。昇給は「年500円だけ」
「大学を出てすぐこの会社に入って、今年で13年目。でも昇給は毎年500円〜1,000円くらい。ここ5年は全く変わっていません」
田村さんの手取りは月20万〜21万円ほど。都内で家賃8万円の1Kに一人暮らしし、残りは食費・光熱費・通信費・交通費などでギリギリだといいます。
「特別な贅沢をしているわけじゃないです。交際費も削っているし、洋服も年に数回ユニクロで買うくらい。でも、ここ2年ぐらいは明らかに生活が苦しくなったと感じます」
昇給が見込めず、ボーナスもわずか。今後の人生設計に不安を抱き、副業を始める決意をしました。
最初に始めたのは、Uber Eatsの配達員。会社から帰宅後、自転車で近所のエリアを1〜2時間回るのが日課になったといいます。
「最初は勇気が要りました。知り合いに会ったら気まずいなとも思いましたし、体力的な不安もありました。でも、背に腹は代えられなかった。夜の街って、案外見られてないんですよね」
報酬は1時間あたり1,000〜1,500円程度。月に2万〜3万円の副収入になりました。加えて、休日は部屋の片づけを兼ねて、不要品をメルカリで出品。「昔のゲームソフトや使っていないキッチン家電」が意外な値段で売れたといいます。
さらに最近では、セール商品やフリマで仕入れた雑貨や中古書籍を、相場より高値で売る“スキマ転売”も開始。副業での月収は、安定して5万円前後に到達しました。
政府は働き方改革の一環として、副業・兼業の推進を掲げています。厚生労働省が公表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、従業員の健康確保や労働時間管理を条件としつつ、副業を積極的に認める方向性を示しています。
一方で、副業には確定申告の義務も伴います。年間20万円を超える雑所得がある場合、会社員であっても確定申告が必要。また、Uber Eatsなどの配達業務を継続的に行う場合は、開業届の提出やインボイス登録の有無も意識する必要があります。
田村さんも「最初は全然わかりませんでしたが、ネットやSNSで情報収集して、今は会計ソフトで帳簿をつけています」と話します。
