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出生率の高い地方の若者が東京へ
ならば、人口減と産業拠点の消失で疲弊する地方を尻目に、一極集中を続ける東京圏は少子化対策に成功しているのか?と問われれば、実際は真逆であって、都内23区の出生率は軒並み1.0を切っている。
豊島区で0.89、中野区で0.91、杉並区で0.95と東京都全体でも0.99と1を切ってしまっている(ちなみに全国でワースト上位には京都市が含まれ、東山区で0.76、上京区0.80、下京区0.82となっている)。
全国で出生率が高いのは沖縄1.60、長崎1.49、宮崎1.49、鹿児島1.48、熊本1.47と、すべて九州である。これらの県の中には出生率を2以上、2.4までを維持している市町村は30程度存在している。
こうした統計から窺えるのは、日本全国で人口減が起きているが、その中でも出生率の高い地方から、出生率の低い東京圏に転入が続いているという傾向だ。
地方から東京圏への若い女性の流入は少子化に益々拍車をかけており、むしろ首都圏における少子化対策、結婚や出産の支援体制、安心して子育てや教育を続けられる住まいや地域の再構築のほうが、もっとも必要なことだということが分かるであろう。
今、統計から見えてくることは、たとえ、出生率の高いエリアに生まれ育ったとしても、東京に来ると出産や子育てが不可能になるという現実である。つまり、東京の出生率をなんとか早期に全国平均の1.2くらいにまで引き上げることこそが効果的なのである。
ならば、首都圏における人々の暮らしやすさ、都市構想や再開発はどうなっているのかというと、一極集中の東京都の中でもさらに一極化が進んでおり、山の手線の内側、千代田区、中央区、港区、江東区といった東京駅から湾岸にかけてのエリアに集中的に再開発と投資が、住居を含むオフィスや商業施設の高密度化が進展しているのである。
そしてそのことは、さらなる人口集中と生活の不便さ、将来への希望のなさ、気持ちの余裕のなさと一体になって、益々国民生活を窮乏させていっている。
