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「地方への新しい人の流れをつくる」とは?
目標値1.8の出生率のほうは、この10年で1.42から1.20まで下落している。2023年の出生数は72万7277人であり、これは前年比4万3482人減ということで、統計が始まった明治32年から見ても過去最低の数字なのである。
ちなみに明治32年の我が国の人口は、当時はまだ統計に上らない人々もいる前提で、約4500万人であり、出生者は140万人弱である。つまり現在の全国の人口の3分の1でありながら出生数は現在の倍あったわけである。この明治32年の1899年から1995年までの90年以上は、日本のほぼ全域で人口の増加が起こっている。
2000年前後から地方での人口減少が始まり、2010年以降は東京圏以外のほぼすべての地域で人口の減少が急激に進んでいる(東京圏以外で人口推移が減少ではなく現状維持か微増しているのは大阪、愛知、福岡の三府県だけである)。
つまり、この10年間の施策はまったく効果がなかったばかりか、さらなる東京圏への一極集中のみが起こっているのが実情なのである。
“迷走”した地方創生政策は、「デジタル田園都市国家構想」へ
この地方創生政策は迷走とも失敗とも言われながら、岸田政権誕生後は「デジタル田園都市国家構想」と名を変え「まち・ひと・しごと創生本部事務局」はそっくりそのまま「デジタル田園都市国家構想実現会議事務局」と、その看板を付け替えたのが2023年のことである。
「地方創生をデジタルの力を活用して加速する」、これまでの地方創生は継続する、という触れ込みである。
もちろん地域産業におけるデジタル化は吃緊の課題ではあるが、そもそもの地方の少子高齢化・人口減の問題や東京圏一極集中に対する言説は明らかに後退しているというのが事実である。地方創生の取り組みの具体性は益々もって低迷していると言わざるを得ない。
結果として、地方創生もデジタル田園都市国家構想も地方創生拠点整備という名で、JAでも販売可能な農作物を持ち込む直売マルシェのための「道の駅」を、ファストデザインされたガランドウをつくっているだけというのが実情である。
