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トランプ政権のビザ規制強化が「ゲームチェンジャー」に?
トランプ政権時代に導入されたビザ規制、特にH-1Bビザの年間10万ドルとされる手数料は、米国のテクノロジー関連企業がフィリピンやインドなどの国へ業務をアウトソーシングする動きを加速させる可能性があります。米国における外国人雇用のコスト増と規制強化は、現在IT人材市場を支配しているインドだけでなく、他の国々にもアウトソーシングの機会を拡大させる見込みです。
フィリピンへの直接的な影響は限定的であるとされています。フィリピンIT・BPM協会(IBPAP)によれば、H-1Bビザ保有者のうちフィリピン人は1%未満であり、プログラムの大半をインド人労働者が占めているためです。
フィリピン商工会議所(PCCI)は、追加のビザ費用が米国でのフィリピン人の雇用機会を減らすことを懸念しつつも、より多くの米国企業が海外での雇用を増やすと見ています。
フィリピンは、ITおよびビジネスプロセス管理部門で大規模な労働力を有する重要なアウトソーシング先であり、この動きは世界市場における地位をさらに確固たるものにすると期待されます。
フィリピンIT・BPM業界の最新動向
フィリピンのIT・BPM(情報技術・ビジネスプロセス管理)業界は、今後も力強い成長を続けると予想されています。業界団体であるIBPAPは、2026年までに年間輸出収益420億ドル、雇用者数197万人に達すると予測しています。これは、業界がパンデミックという困難な時期を乗り越え、その回復力を証明したことに基づく楽観的な見通しです。
2022年に策定されたロードマップ以降、IT・BPM業界は45万人の新規雇用と105億ドルの収益を生み出しました。特に銀行・金融サービスやヘルスケアなどの主要分野が成長を牽引しています。
この成長戦略において、フィリピンが特に注力しているのが、グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)の誘致。GCCとは、多国籍企業が子会社として自社の特定の業務を海外に集約・運営する拠点のことです。これは、外部委託とは異なり、コスト削減と効率化を図りながらも、業務の品質、セキュリティ、企業文化の一貫性を維持できるという利点があります。
フィリピンは、成長率がより高いとされるGCCの次なるハブとなることを目指しています。現在、国内には170のGCCが存在し、インドの2,000と比較すると規模は小さいものの、米国、オーストラリア、ヨーロッパからの設立への関心は高まっています。IBPAPは、この関心の高まりを報告しており、フィリピンが成長率の高いGCCの次なるハブとなることへの期待を示しています。
GCCの誘致をさらに加速させるため、IBPAPは政策面での支援を求めており、特に、以前の地域統括本部(ROHQ)法に類似した新しい法律の制定を提唱しています。同協会は、IT・BPM業界がフィリピン経済の少なくとも8%を占める重要な存在であり、その重要性を「失敗するにはあまりにも大きい(Too Big to Fail)」という言葉で強調しています。
また、IBPAPは、AIの導入が一貫した国家戦略によって導かれるべきであると強く主張しています。業界の専門家は、AIがもたらす変化に対応するためには、AI戦略が断片的なアプローチではなく、国家レベルで統一されたアジェンダを持つことが不可欠であると指摘しています。これにより、フィリピンのIT・BPM業界は、単なる生き残りではなく、より高い価値を提供し続けることで、世界市場において不可欠な存在であり続けることを目指しています。
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