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年収は2,000万円から1,200万円に。それでも後悔はない
稲田雅彦さん(仮名・54歳)は、2年前まである企業の社長を務めていました。しかし、会長との関係がうまくいかず、やむなく会社を去ることに。その後、古くからの取引先で部長職として迎え入れられ、現在は年収1,200万円で働いています。社長時代の年収は2,000万円。収入は大きく減りましたが、稲田さんに不満はありません。
「確かに年収は2,000万円から1,200万円に下がりました。でも、生活には困っていませんし、むしろ気持ちは楽になりましたね」
稲田さんの自宅は、都心の喧騒から離れた東京郊外にあるマンション。すでにローンは完済しており、大学生の息子も一人暮らしを始めて独り立ち。妻も趣味を楽しみながら穏やかな日々を過ごしています。
「社長になりませんか?」と誘われても断った理由
「稲田社長が退任するらしい」
稲田さんが会社を去ることになったとき、どこから漏れ出たのか噂は関係者や同じ業界に一気に広まりました。そして噂を聞きつけた、いくつかの会社から「うちの会社で社長になりませんか?」という誘いも受けたと言います。
「当時は相当弱っていたので、実は社長の誘いはとても魅力的にうつりました。会長とは最初からうまくいっていなかったわけではなかったんです。むしろうまくいっていたほう。だからこそ、社長にもなれたし、結果もきちんと出していた。ちょっとした失言で会長の機嫌を損ねてしまい、追い出される形になってしまったんです。これまでのキャリアや社長としての実績をなかったことにされたようで当時は相当打ちひしがれましたね」と振り返る稲田さん。そして「弱っている人間はなびきやすいんです。辞めた経緯がネガティブであればあるほど……」と続けました。
そんな状況で社長の誘いを断ったのはなぜなのでしょうか?
「学生時代の友人がある企業の雇われ社長になったんです。彼はとても優秀で、誰もが知る大企業の部長職にいましたが、これ以上の出世は難しいと感じていた。そんなとき別の会社から『社長になりませんか?』と声がかかった。条件面も魅力的で、表面上は将来性のある会社に見えたのですが、実際には赤字が積み重なっていて、入ってみると想像以上に厳しかった。結局2年で辞めざるを得なかったみたいです。そんな話をふと思い出したんです。そのとき正気になったというか、俺はババをひきたくない」と強く思ったんです。
「私も社長をやっていたからわかるんです。社長という肩書は華やかに見えて、実際にはリスクも背負います。業績や人間関係でつまずけば、責任はすべて自分に降りかかる。そんな思いはしたくなかったんです」
その言葉には、社長としての重責を背負った経験者ならではの現実味がにじみます。
