「十分な暮らし」と「心の余裕」
現在の年収はかつてより減ったものの、生活の基盤はしっかり整っている稲田さん。
「社長時代は、毎日のように緊張の連続でした。誰かに常に見張られているような気持ちで、心が休まることがなかった。今は部長という立場で責任はありますが、命を削るようなプレッシャーではありません。給与も十分にいただいていますし、何より家族が穏やかに暮らせているのが一番ですね」
「肩書き」よりも「暮らしの安心」
「社長」という肩書きに憧れる人も少なくありません。しかし稲田さんは、肩書きや年収よりも「家族と自分が心穏やかに暮らせること」を優先しました。
「社長になれば華やかに見えるかもしれない。でも、その裏で失うものも多いんです。今の私は“肩書き”よりも“安心”を選んだというだけのこと。これでよかったと思っています。まあ、それは社長を経験したからこそ言えることなのかもしれないですが……」
かつては社長として組織の最前線に立った稲田さん。今は少し距離を置きながらも、家族との時間や自分の人生を大切にしようとしています。
「今の会社はもともとお付き合いのある会社だったので、入社後のギャップはあまりありませんでした。楽しく働いています。なんだか若い人の感想みたいですけれど……。でも新人のつもりで、環境もガラッと変わって楽しくやってますよ」
そう言い残して稲田さんは颯爽と去っていきました。
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