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「不正受給」という言葉の重み
妻の咲さんも文書に目を通し、青ざめています。
「不正受給ってこと?」
その重い言葉に、裕太さんは頷けません。確定申告の画面に表示されていた注意書きを、ただ無視してきただけ。そんな軽い気持ちでした。
住宅借入金等特別控除とは、年末のローン残高の一定割合を所得税から控除できる制度です。裕太さんの場合、年間数十万円程度の控除を受けていました。2年間で100万円程度。「ペナルティを合わせると、一体いくら支払うことになるのか……」裕太さんは慌ててスマートフォンで〈住宅ローン控除 不正受給 ペナルティ〉と検索します。
【不正受給が確認された場合の措置について】
不正受給が確認された場合、過去に遡って控除額全額を追徴課税として納付するほか、過少申告加算税(10%〜15%程度)、重加算税(35%程度)、延滞税(年7.3%〜14.6%程度)が課される可能性がある。
「どうしよう……」支払い見込み総額を計算した裕太さんの声は震えていました。
税務署からのお尋ねは、単なる確認作業ではありません。これは本格的な税務調査のはじまりを意味しているのです。
お金のプロからの「警告」
警告1:税務署による監視体制
税務署がどのような方法で住宅ローン控除の不正申請を検知しているかについて、一般的に知られている情報をお伝えします。税務署が住宅ローン控除の不正申請を検知する仕組みは、多角的に情報を集める仕組みを作っているといわれています。
たとえば国税庁による匿名での情報提供の受付け。近隣住民や関係者からの通報で不正行為がバレてしまうケースがあるのです。個人的なトラブルや正義感から、こうした情報が寄せられることは実は珍しいことではありません。
また、税務署は市区町村役場や金融機関、不動産会社、さらには電力・ガス・水道会社などとも連携し、情報を照会する権限を持っています。これらの情報を突き合わせることで、申告内容との矛盾点をみつけだすことができます。
さらに、給与所得者の年末調整の内容と、不動産所得を含む確定申告の内容を照らし合わせたときに、住宅ローン控除の申請内容におかしな点がみつかることも。こうした情報収集の仕組みがあるため、巧妙に隠そうとしても、不正がみつかる可能性は決して低くない、と認識すべきでしょう。
