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税務署から届いた一通の封筒
春の陽だまりが心地よい午後のこと。妻の咲さん(仮名)から、ダイニングテーブルの上に置かれた茶封筒を渡されました。差出人は「〇〇税務署 個人課税部門」。裕太さんは、一瞬息をのみます。
封筒を開けると、A4用紙が4枚。
1枚目のタイトルを見た瞬間、裕太さんの顔から血の気が引きました。
拝啓時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。さて、あなたが申告された住宅借入金等特別控除につきまして、以下の事項について確認させていただきたく、ご連絡いたします。
当該不動産について、第三者による居住の事実が確認されております。住宅借入金等特別控除は、所得税法第41条に基づき、取得者本人が居住することを前提とした制度であり、賃貸等による第三者の居住は適用要件を満たさないものと考えられます。
文章は丁寧な敬語で書かれていますが、その内容は容赦なく核心を突いています。
つきましては、下記事項についてご記入の上、同封の返信用封筒にて令和〇年〇月〇日までにご返送くださいますようお願いいたします。なお、虚偽の記載をされた場合、国税通則法第68条に基づく重加算税の対象となる可能性があります。
一、現在の居住者について(氏名、続柄、居住開始年月日)
二、賃貸借契約の有無及びその内容(契約期間、賃料月額)
三、賃貸収入の有無及び金額(年間総額)
四、あなたが当該不動産に居住していない理由
五、住宅借入金等特別控除を申告した理由
六、融資元金融機関への賃貸に関する相談・承諾の有無
最後の項目をみて、裕太さんの不安はさらに大きくなります。
「税務署だけではない。銀行にもこの事実が知られてしまうのではないか。住宅ローンの契約書には『自己居住用』という条件が明記されていたはず。もし銀行が賃貸に出していることを知ったら、契約違反として一括返済を求められるかもしれない。数千万円を超える残債を一度に返済できるはずがない……」
