(※写真はイメージです/PIXTA)

国際課税の世界は変化の速度を増しています。従来は日本企業の海外進出やタックスヘイブン対策が中心でしたが、近年は台湾企業の日本進出や、インターネット・スマートフォン・暗号資産に伴う新たな課税問題も浮上。各国間の情報交換やOECDによる国際協調が進み、海外への「逃げ得」は以前より困難になっています。こうした国際課税は、単なる税徴収の手段ではなく、国際間の利害調整としての役割も重要視されるようになっています。8月に『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』を刊行した矢内一好氏が詳しく解説します。

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国際課税の範囲

以前は「税務の国際化」が注目されましたが、近年では「国際化」という表現自体が日常化し、特別なことではなくなりました。

 

これまでの国際課税の主な対象は以下の通りです。

 

  • 個人の非居住者課税
  • 個人・法人共通の外国税額控除
  • タックスヘイブン対策税制
  • 法人の移転価格税制

 

近年は、インターネットやスマートフォンの利用拡大に伴い、企業・利用者双方に新たな課税問題が生じています。また、暗号資産に対する課税も検討が進んでいます。

 

国際課税の背景には、各国が独自の主権に基づき税を課す自由がある一方で、国際協調の必要性が生じたことがあります。

国際間の情報交換の拡大

第二次世界大戦後、OECD(経済協力開発機構)が設立され、国際的な税務協調が進展しました。

 

特に近年は税務情報の交換が拡大しており、2014年5月13日、OECD閣僚理事会で「租税に係る金融情報の自動交換(AEOI)」が宣言されました。これにより、外国銀行に隠した資産情報は居住国に提供され、日本国内の外国人預金情報も相手国に伝えられる仕組みとなっています。

 

国税庁は、AEOIや租税条約に基づく情報交換、国内の調書制度拡充により、税務調査の実効性を高めています。

海外への「逃げ得」は許されない

かつては、海外に資産を持つ外国人が無申告で出国するケースもありましたが、現在は多くの国で租税条約を通じた国際徴税の仕組みが整備されています。

 

ただし、完全に「逃げ得」がなくなったわけではなく、調査中に出国する事例や、パスポート差押え後の巧妙な回避例も報告されています。

国際課税は利害調整

国際課税の特徴は、1つの取引に対して複数国で課税関係が生じる点にあります。

 

国際課税の役割は、二重課税の排除による通商円滑化だけでなく、国際間の税に関する利害調整の手段としても機能しています。従来は二国間で行われていた調整も、現在ではOECDを中心に多国間で行われるようになり、その重要性が高まっています。

 

矢内一好

国際課税研究所首席研究員

 

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