日米関税交渉の合意が日本の景況感を改善
もうひとつの材料である日米関税交渉の合意が日本の景況感を改善させたこともファンダメンタルズ面の大きな材料だ。
内閣府と財務省が11日発表した7~9月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス4.7と2四半期ぶりにプラスとなった。
前回4~6月期調査の大企業全産業はマイナス1.9と5四半期ぶりのマイナスだった。日米の関税合意前で製造業を中心に業績悪化の懸念があったからである。それが7月下旬の日米関税合意で自動車関税は25%から15%に引き下がることが決まったことで不透明感が払拭され、今後は需要回復を見込む企業が増えたのだ。大企業BSIの先行きは全産業ベースで10~12月期がプラス4.3、2026年1~3月期はプラス4.7と改善が続く見通しだ。これがそのまま市場の企業業績の見方につながっている。
今期は6年ぶり減益だが、来期は増益に転換するというのがアナリスト・コンセンサス。来期の業績までみればバリュエーションは決して高くなくじゅうぶんに買える水準だ。重要なのは米国の利下げ期待が強くても、為替が円高に振れない点。この背景については紙幅の関係でまた別の機会に述べたいが、米国の利下げ期待の強さや途切れないAIブームなど、内外の投資環境がこれほど良好な状況もめったにない。すべてのバランスが微妙に配材されている。
本稿を執筆しているのは12日の朝7時。シカゴの日経平均先物は4万4,750円で引けている。日経平均が4万5,000円の大台を越えるのも時間の問題だろう。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
※本記事はマネックス証券 チーフ・ストラテジスト広木隆氏のストラテジーレポート『日経平均4万5000円の大台目前 ふたつの大きな要因』を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。また、投資による結果に編集部は一切責任を負いません。投資に関する決定は、自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。
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