フィリピン・製造業…7月は5ヵ月ぶりのマイナス成長
7月のフィリピン製造業生産は前年同月比で1.1%減少し、5ヵ月ぶりの低水準となりました。前年同月には7.0%の成長を記録しており、6月の1.6%増加から大きく下落しました。これは2月に記録された前年同月比1.9%減以来の落ち込みです。一方で月次では、季節調整済みの数値で見ると前月比で3.4%増加と回復傾向が見られ、季節性を除いた基調においても2.6%の上昇となりました(年初から7月までの平均成長率はわずか0.4%にとどまり、前年の2.7%に比べて大幅な鈍化となりました)。
製造業生産の落ち込みは、特に以下の3部門に顕著に現れています。
・食品部門: 成長率が6月の22.4%から7月には16.5%に鈍化
・コンピューター・電子・光学製品部門: 7.3%から5.0%に鈍化
・輸送機器部門: 13.0%余りから約9.3%へと減速
また、前年同月比で大幅な縮小をみせたのは、基本金属部門(▲25.4%)、コークス・精製石油製品部門(▲15.7%)、化学製品部門(▲22.2%)です。このほか10部門で前年同月比が鈍化し、9部門で増加が見られたものの、全体として生産活動は勢いを欠いています。
こうした動きの背景として、米国の関税政策に対する不透明感や悪天候の影響があると分析されています。特に関税政策は輸出主導の製造業にとってリスク要因になっており、天候面では農産品を含む加工や物流に何らかの影響があった可能性が示唆されています。
フィリピン製造業は7月に前年割れとなり、成長モメンタムが弱まっています。特に主要部門が軒並み鈍化しており、外部環境の変動(関税政策や気候要因)が重しになっている印象です。今後、回復軌道に戻すには、政策支援や天候対策を含めた総合的な対応が求められます。
