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実家の庭で燃やされていた〈ブツ〉の正体に、絶句
週末、Aさんがいつものように実家を訪れると、不快なにおいが漂っています。プラスチックや化学物質が燃える、ツンとした刺激臭と、有機物が焼ける生理的に不快なにおい。ボヤでもあったのかと急いで父に問いただしますが、Dさんは「気のせいだ」「いちいち騒ぐな!」と強い口調で「なにもない」の一点張り。怪しく思ったAさんは、においのもとを突き止めるべく捜索を始めました。
実は、以前にも1度同じようなことがあり、そのときは父のあまりの剣幕におとなしく追跡をやめていたAさん。そのとき、父が庭で土を掘り返していたのを思い出しました。ガーデニングでも始めたのかと思っていましたが、あれからひと月ほど経っても、庭先に植木鉢が並んでいる様子はありません。
父が部屋に戻りテレビを見始めたのを見計らって庭に出て、父がかつて土いじりをしていたところを掘り返すと、なにかの「燃えカス」が出てきました。
「うわっ! げっ、なにこれ!」
よく見ると、燃えカスの正体はどうやら「おむつ」のようです。
「……!? おむつ……? おむつだなこれ。でもなんで……?」
手術後、排便がうまくいかなくなることがあるとは主治医から聞いていましたが、まさか父がおむつを……。トイレの引き出しにも、しまっている形跡はありません。毎週洗濯をしているのに、下着に汚れた様子は一度もありませんでした。
父は、おむつが必要になったという「恥」を、娘に絶対に知られたくなかったのです。買ったおむつは押し入れの奥深くに仕舞い、使用済みのものもゴミとして出すことができずに、裏庭で燃やしていたようです。そして、燃えカスも決してみつからないように、土をかけて証拠隠滅。
一見すると、Dさんの行動は用意周到で理にかなっているようにもみえます。しかし、なぜ家族に相談せず、ゴミにも出さず、火を使って処理するという危険な手段を選んだのか……。その背景には、認知症によって「恥を隠すためならなにをしてでも隠す」という思考の固執があったと考えられます。
かつて大勢の生徒の前に立つ教師だったDさんにとって、排泄に失敗するという事実は、自身の尊厳を根底から揺るがす耐え難い屈辱だったのでしょう。そこに、手術後の環境変化や体力の衰えが引き金となり、認知機能の低下が重なりました。
その結果、「おむつは恥だ。隠さなければ」という一つの考えに囚われ、火事の危険性を省みる「判断力」や、娘に相談するという「柔軟な思考」が失われてしまったのです。
父の現状を知ったAさんは言葉を失わずにはいられませんでした。
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