介護に病気…想定外の連続に「とてつもない不安」
最初のきっかけは母の異変でした。父を亡くし一人暮らしをしていた70代半ばの母が、ある日、顔や手足のしびれを訴え救急搬送。検査の結果は脳梗塞。幸い発見は早かったものの、右半身に軽いマヒが残ってしまったのです。
「母は元気で、むしろ私よりしっかりしていると思っていたのに」
Cさんは呆然としました。また、不自由な体で生活をしてもらうのにあたっては、予想以上の出費がかかりました。介護用品の購入、病院や施設までの交通費、日常生活の細々とした費用――母の年金と貯金で賄ってはいるものの、心もとない状況です。
追い打ちをかけるように、Cさん自身の体にも異変が。ある朝、激しい腹痛に襲われ救急搬送。検査の結果は急性胆嚢炎で、すぐに摘出手術が必要と診断されました。
入院・手術費用の大半は高額療養費制度でカバーされましたが、それでも差額ベッド代や入院中の食費、雑費なども合わせ、数十万円単位の出費に。何より、母が要介護、自分も入院という事態に直面したことで、これまで感じたことのない不安に襲われたのです。
退院も1人。家に食料などのストックは一切ありません。待っているのは、冷たいフローリングに薄い布団を敷いただけの寝床。癒しになる雑貨も観葉植物も思い出の写真も何もない部屋。それまで「余計なものがない方がいい」と強く思っていたのに、急に印象が変わったのだといいます。
「何もないって寂しいし、不便だし、ちょっと怖いな……」
