築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
改正建築基準法で注意すべき築古物件のリスク
アパートやマンションはその構造や規模から、改正前の建築基準法においても建築確認の「4号特例」の対象外となることが一般的でした。そのため、今回の改正が新築のアパート・マンションに直接的な影響を与えるわけではありません。
他方、2階建ての戸建てや延べ面積が200m2を超える平屋の貸家を新築する場合には影響が生じます。新たにこれらの建物は、審査が省略できなくなるためです。
これらの建築物については、新築する場合だけでなく大規模なリフォームをする場合にも審査の省略を受けられない場合が出てきます。審査の省略を受けられない分は、さまざまな形でコストとなるでしょう。中古アパートの経営においては、今回の「4号特例」の縮小が、将来的なリフォームや建て替えの際に大きな影響をおよぼす可能性があります。
改正建築基準法を味方に!中古アパート経営成功のための対策と戦略
審査の省略を受けることができない場合、審査のための提出資料の作成や費用が建築にあたってのコストとして顕在化します。また、省略時よりも申請期間を要することから、新築やリフォームにかかる工期が延びてしまい、これに伴うコストアップも想定されるでしょう。
今後大規模なリフォーム等を行う場合には、まず特例の対象となるか否か(審査の省略を受けることができるか否か)を確認することが重要です。
その結果、特例の対象とならず、審査の省略を受けることができない場合には、予定どおり新築や大規模なリフォームを進めるのが適切なのか、それとも新築や大規模なリフォームの内容を特例の対象となるように調整するのが適切なのか、コストやリフォームの目的等から改めて総合的に検討することをおすすめします。
建て替えを前提に新たに物件を購入する場合も、仮に売主側から過去に審査の省略を受けることができていた旨の説明があっても、それを鵜呑みにすることなく特例の対象となり得るか否かを慎重に検討する必要があります。
溝口 矢
法律事務所Z アソシエイト・東京オフィス
弁護士

