(画像はイメージです/PIXTA)

地政学リスクや政策の不透明感を背景に、「記録的な高値圏」での推移が続いている金(ゴールド)価格。では、この金相場が動く要因とはいったいなんでしょうか。本記事では、金相場の変動要因について長期と短期に分けてみていきましょう。ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが解説します。

長期的な変動要因

金相場の長期的な変動には需要と供給、そして構造的要因が大きく影響します。

 

1.供給…限りある資源

金の希少性を担保する供給面は、2024年末時点での地上の在庫の総量がオリンピック公式競技用プールの約4.5杯分、現在確認されている埋蔵量については約1.1杯分といわれています。こうした制約があるうえに、2015年から2024年までの金の年間供給増加率は、年平均で約1%程度に過ぎませんでした。

 

予想以上に鉱山の生産量またはリサイクルの生産量が増えると、金価格に影響を与えます。

 

2.経済成長

特に中国やインドのような新興国の経済成長・所得の増加が長期的な消費と投資需要を支える重要な要因となります。また、経済成長が金の技術用途としての需要を高める可能性があります。

 

出所:ワールド ゴールド カウンシル、ブルームバーグ・ファイナンスL.P、ステートストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社。データ期間は1950年12月31日から2024年12月31日まで。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスの信頼できる指標ではありません。
[図表1]政府が外貨準備の分散を進める流れが継続 出所:ワールド ゴールド カウンシル、ブルームバーグ・ファイナンスL.P、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データ期間は1950年12月31日から2024年12月31日まで。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスの信頼できる指標ではありません。

 

3. 構造的な金需要の増加

中央銀行は、米ドルの保有比率を徐々に引き下げ、金の保有を引き上げる動きを見せており、金の長期的な需要を支える構造的な変化となっています。米国がロシアの米ドル資産を凍結した動きも、こうした動きを加速させています。

 

ワールド ゴールド カウンシルによると2010年から15年連続で中央銀行は金を買い越しています※1。また、欧州中央銀行によると※2、2024年の世界外貨準備に占める金の割合は20%と16%のユーロを上回り2位となったとしています。

 

通貨の信認は政府債務と密接に関係しています。法定通貨は金や銀などの裏付けがなく、発行者(政府)の信用に基づいて価値が担保されているため、政府債務の増加は通貨の信認の低下につながり、個人投資家、機関投資家ともに金への資産配分を増やす傾向にあります。

 

4. 構造的なインフレリスク

第二次トランプ政権下での関税引き上げをはじめとした脱グローバル化やサプライチェーンの再構築の取り組みが、長期的なインフレ圧力を高め、金の価値を押し上げる可能性があります。

 

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【注釈】
※1 ワールド ゴールド カウンシル
※2 European Central Bank. ”The international role of the euro”, June 2025

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過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスの信頼しうる指標にはなり得ません。

Tracking Number: 8223483.1.1.APAC.RTL
Exp Date:08/31/2026

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