金は堅調な実需と地政学リスクで“記録的高値圏”を維持
(画像はイメージです/PIXTA)
2025年、金(ゴールド)価格は地政学リスクや政策の不透明感を背景に、「記録的な高値圏」での推移が続いています。その一方で、金需要は堅調さを維持。これには、安全資産としての需要やETFを通じた投資マネーの流入、中央銀行による継続的な買い入れなど、複数の構造的要因があると考えられます。本記事では、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが、他の主要資産や市場環境と比較しながら、2025年8月時点の金市場の動向と今後の見通しについて解説します。
中央銀行による金購入は鈍化も、戦略的なコミットメントは維持
中央銀行による金の購入は健全な水準を維持していますが、過去最高水準だったこれまでの四半期と比べて鈍化しています。2025年第2四半期の純購入量(期間中の購入と売却の差)は116トンで、前四半期比33%減となり、2022年第2四半期以来の最も少ない四半期となりました※9。しかし、購入量は2010年から2021年までの四半期平均の水準を依然として41%上回っています※10。
2025年上半期の累計購入量は415トンで、前年同期比21%減となりました。この鈍化は、金の価格が高止まりしていることが要因とみられます※11。第2四半期に公的セクターで購入量が最も多かった国はポーランドとアゼルバイジャンで、それぞれ19トンと16トンを追加しました※12。これらの追加により、両国の総準備資産に金が占める割合はそれぞれ22%と29%に増加しました※13。
中央銀行は購入ペースを鈍化させていますが、価格が高いにもかかわらず金を買い増しており、需要が構造的に堅調であることを示しています。この傾向は、ワールド ゴールド カウンシル(WGC)の2025年中央銀行調査でも確認されており、過去最高となる回答者の95%が今後12ヵ月間で世界の金準備保有額が増加すると予想しています。
特に注目すべきは、過去最高の43%の国が自国の金保有量を増加させる計画であると回答している点です。一方、73の中央銀行の回答者のなかで、金の配分が減ると予想する中央銀行は1つもありませんでした※14。
今後を展望すると、追加ペースは若干鈍化するものの、2025年も公的セクターの金の買い越しが16年連続で続く見通しであり、依然として健全な水準を維持することが予想されます。
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インデックス運用やETF(上場投資信託)分野における早期からの取り組みを含め、同社の投資手法は、市場に裏付けられた運用ノウハウと、投資家ニーズへの継続的な対応を基盤としている。
2025年6月末時点において、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが関与する運用資産残高は5兆米ドルを超えており、60カ国以上の顧客に対してサービスを展開している。その中には、グローバル規模での戦略的パートナーシップを通じた提供も含まれ、コスト効率に優れた幅広い投資手段を提供している。ETFの運用資産総額1兆6,898.3億米ドルを含み、そのうち約1,160.5億米ドルは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ・エルエルシー(「SSGA FD」)がマーケティング・エージェントを行っているSPDRの金の資産となっている。SSGA FDはSSGAの関連会社で、すべての運用資産残高は監査前の数値。
なお、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が行う資産運用関連業務のブランド名である。
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連載【ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント】金市場を徹底分析
【注釈】
※1 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 7/31/2025.
※2 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 6/30/2025.
※3 Source: State Street Investment Management, World Gold Council, as of 7/31/2025.
※4 Source: State Street Investment Management, World Gold Council, as of 7/31/2025.
※5 Source: State Street Investment Management, World Gold Council, as of 7/31/2025.
※6 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 7/31/2025.
※7 Source: State Street Investment Management, World Gold Council, as of 7/31/2025.
※8 Source: Bloomberg Financial L.P. and State Street Investment Management, as of 7/31/2025.
※9 Source: IMF, respective central banks, World Gold Council, as of 6/30/2025.
※10 Source: IMF, respective central banks, World Gold Council, as of 6/30/2025.
※11 Source: IMF, respective central banks, World Gold Council, as of 6/30/2025.
※12 Source: IMF, respective central banks, World Gold Council, as of 6/30/2025.
※13 Source: IMF, respective central banks, World Gold Council, as of 6/30/2025.
※14 Source: YouGov, World Gold Council, as of June 17, 2025.
※15 Source:General Administration of China, as of June 30, 2025.
※16 Source: LBMA, SGE, as of July 31, 2025.
※17 Source: ICE Benchmark Administration, Metals Focus, World Gold Council, as of June 30, 2025.
※18 Source: ICE Benchmark Administration, Metals Focus, World Gold Council, as of June 30, 2025.
※19 Source: ICE Benchmark Administration, Metals Focus, World Gold Council, as of June 30, 2025.
※20 Source: ICE Benchmark Administration, Metals Focus, World Gold Council, as of June 30, 2025
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