(※写真はイメージです/PIXTA)

久しぶりに家族が集まる夏休み。年齢を重ねて中高年となっても、親やきょうだいの顔を見れば子ども時代に戻ったような気持ちになるかもしれません。しかし、年齢を重ねた親は、元気に見えても先々には病気、相続、葬儀など、多くの心配事があるといえます。ある家族の実情を通して考察します。

「家族葬は?」「直葬は?」「散骨は…?」→「もういいッ!」

思いがけない宣言に、子どもたちは顔を見合わせます。最初に反応したのは長女の陽子さんでした。

 

「お父さん、それ、大変すぎるわよ。片付けだって誰がやるの? そんなにやりたいなら、企画書作ってプレゼンしてもらわなきゃ…」

 

半分冗談のつもりでしたが、滋さんは頬をふくらませます。

 

そこへ優一さんが畳みかけるように言いました。

 

「いまの流行は〈家族葬〉だよ。親しい人だけでひっそりと。シンプルでいいじゃない?」

 

「いやだ、お父さんはみんなを集めて、にぎやかに見送られたいんだ!」

 

滋さんは声を大きくして反論しました。

 

場をなごませようと、美香さんが話しかけます。

 

「お父さん、だったら私がピアノを演奏してあげる」

 

「美香は優しいなぁ。なんだよ、あいつらは冷たいことばっかり…」

 

すると、芳江さんが冷静に言いました。

 

「〈直葬〉って知ってる? 通夜・告別式なし、火葬だけ。超シンプルでいいじゃない。いま、選ぶ人が増えているんだって。新しいもの好きなお父さんにピッタリ」

 

滋さんの頬はますます膨らみますが、芳江さんは意に介しません。

 

「パーティーがいいなら、海にお骨をまくのはどう? みんなで船の上でバーベキューしながら、お父さんをパーッと…」

 

「もういいッ!」

 

滋さんは足元の猫を抱き上げ、プイッとソファのほうへ行ってしまいました。

 

「お父さんの好きなプリン、あるよ?」

「お父さんはいらない!」

「お父さん、そんなこといわないで…」

 

背を向けてソファに座る滋さんに、美香さんがスプーンと一緒にガラス容器に入ったプリンを差し出すと、滋さんはプリンを口に運び、「うん、うまい…」とつぶやいていました。

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