(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後の暮らしを見据え、「都会を離れて地方でゆったり暮らしたい」と考える人は少なくありません。住宅価格が比較的安く、自然も身近な地方移住は、老後の理想の生活として語られることもあります。しかし実際には、交通や医療、生活インフラの問題など、想定していなかった負担が浮き彫りになるケースもあります。老後の住まいは「広さ」や「環境」だけでなく、暮らしを維持できるかどうかが大きな課題になっています。

「庭付きの家で静かに暮らしたい」夫婦が選んだ地方移住

「老後は、静かな場所でゆっくり暮らしたかったんです」

 

そう話すのは、関東で暮らす加藤さん夫妻(仮名・夫67歳、妻65歳)です。

 

夫は会社員として長年働き、定年退職後は年金生活に入りました。夫婦の年金収入は月20万円弱。退職金も受け取り、住宅ローンも完済していました。

 

二人が決断したのは、地方への移住でした。

 

もともと住んでいたのは首都圏の郊外。家を売却し、地方都市の郊外にある中古戸建てを購入しました。価格は約900万円。庭付きで部屋数も多く、「老後の住まいとしては十分すぎる広さ」だったといいます。

 

「家庭菜園もできるし、空気もきれい。これでのんびり暮らせると思ったんです」

 

長男は車で数時間の距離に住んでおり、移住後に顔を合わせる機会はほとんどなかったといいます。

 

移住から半年ほど経ったある日、長男が久しぶりに両親の家を訪れました。突然の訪問だったため、玄関を開けた父は少し驚いた様子でこう言ったといいます。

 

「来るなら連絡してくれよ……」

 

玄関の前には、雑草が伸びた庭。門の周りには落ち葉が溜まり、郵便受けにはチラシが何枚も挟まっていました。

 

「ちょっと忙しくて、庭まで手が回らなくてね」

 

そう言う父の声には、少し疲れがにじんでいたといいます。

 

家の中も、移住したばかりの頃とは様子が変わっていました。広い家は掃除が行き届かず、使っていない部屋には物が積まれ、生活動線は次第に一部の部屋に限られていました。

 

特に大変だったのが庭の管理でした。

 

「最初は楽しかったんですが、草が本当にすぐ伸びるんですよ」

 

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