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銀行貸出の基本は「確実な回収」
銀行の本業は預金を集めて貸出を行い、利ざや(貸出金利と預金金利の差)を稼ぐことです。そこから人件費等の経費を差し引き、貸し倒れ損失を差し引いたものが「利益」となるわけです。銀行の場合には、貸出先を慎重に選び、貸倒損失を極力減らすことで、低い金利での貸出が可能となるように努めています。
消費者金融は、借り手をあまり慎重に選ばないため、貸し倒れ損失は大きくなりがちですが、それを補って余りあるだけの高い金利を設定することで利益を得ています。銀行とはビジネスモデルが大きく異なっているのです。
しかし、銀行がいくら慎重に借り手を選んだとしても、貸し倒れをゼロにすることはできません。一流企業でも倒産する可能性は皆無ではありませんし、一流企業の社員に住宅ローンを貸しても、社員が病気で働けなくなる可能性などがあるからです。そこで、借り手が借金を返せなくなった場合に銀行の回収額が少しでも多くなるような工夫として、「担保」と「保証」という手法が用いられているのです。
担保は貸し手同士の「パイの奪い合い」
借り手が十分な資金を持っていれば、すべての銀行(銀行以外の貸し手も含む)が返済を受けられるので、問題は起きません。問題が起きるのは、借り手の資金が借金より少なく、「全部は返せない」となる場合です。その場合には、銀行間でのパイの奪い合いが起きます。
そうなった場合に備えて銀行が用意しておくのが担保です。借用証書に「わが社が借金を返せない場合は、工場をA銀行が勝手に売って代金を受け取っても結構です」といった文言を書き加えてもらうのです。そうなると、いざという時にA銀行がほかの銀行より有利になるのです。
担保は、不動産が普通です。宝石を担保にしてもよいのですが、いざという時に探すのが大変ですし、借り手が勝手に売ってしまうかもしれないので、銀行の金庫で預かっておく必要があり、面倒だからです。
不動産の場合、政府が「登記簿」というものを作っていて、そこに誰が不動産を持っているのか、どこの銀行の担保になっているのか、記載されているので便利なのです。
銀行は、貸出に際し、担保にする不動産の登記簿を確認します。本当に借り手が持っているのか、どこの銀行の担保にもなっていないか、を調べるのです。2つ以上の銀行の担保になっている場合、最初に登記簿に名前が記載されている方が優先されるので、登記簿にほかの銀行の名前があると困るからです。そのうえで、担保をとって自分の銀行の名前を登記簿の最初に記入してもらうことになります。
保証は「パイを増やす効果」
銀行は貸出に際し、第三者の保証を要求することもあります。住宅ローンを借りるとき、親族に保証人になってもらった人も多いでしょう。保証というのは、「借り手が借金を返せないときには、私が代わりに返します」という手紙(保証書)を第三者に書いてもらうことです。これは、借り手の資金を銀行同士で奪い合うのではなく、借り手の資金以外も返済に使えるようにしよう、というものです。
子会社が銀行から金を借りる際に、親会社の保証が必要になる場合があります。子会社が万が一倒産しても、親会社が代わりに払ってくれるなら、銀行が安心して貸すことができるからです。そんなことなら、親会社が銀行から借りて、それを子会社に転貸すればいいようにも思えますが、いろいろな事情があるのかもしれませんね。
もうひとつ、オーナー企業の社長が会社の借金に個人保証する場合があります。株式会社が借金を返せない場合、株主が代わりに借金を返済する義務はありません。そこで、銀行としては、会社の株を大量に持っているオーナー社長に保証してもらうことで、社長の個人資産からも貸出が回収できるようにしたいのです。
社長としては、本心では保証書にサインするのは嫌だと思っても、実際にはサインする場合も多いようです。「サインしなければ、個人資産は守られるけれど、会社は借金できず、発展できない」「サインすると、個人資産は危険になるけれど、会社が借金できて発展すれば自分の利益になる」ということで、後者を選ぶ場合も多いということです。
大企業の社長が個人保証することはありません。大企業の借金は巨額なので、社長が個人保証すると万が一の場合に、破産してしまうからですが、理由はもうひとつあります。オーナー社長の場合には、個人保証すると個人の所得が増える可能性が大きいわけですが、大企業の場合には社長が個人保証することで企業が借金できて発展しても、何万人もの株主が少しずつ配当を受け取ることになるので、社長個人のメリットは小さいからです。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義
経済評論家
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