FRBが利下げを行えば、ゼロクーポン資産の機会コストは低下
FRBは2025年および2026年の追加利下げを示唆しているため、マネーマーケット利回りのさらなる低下が見込まれます。そうなれば現金や同等物への投資妙味は薄れ、金のように利回りを生まない資産を保有する機会コストは低下します。
米ドルの大幅な下落基調、ならびに2025年下半期にFRBがハト派姿勢に転じる可能性を背景に、マネーマーケット・ミューチュアルファンドに積み上がる過去最高の約7兆ドルの資金の一部が金にシフトする可能性もあります※10。ドルが弱含めば、キャッシュの相対的な購買力は損なわれ、価値保存機能とポートフォリオ分散効果を備える金のような実物資産に投資する根拠が強まります。
最近のFRBの金融緩和サイクル(2001年、2008年、2019~2020年)では、その後に金価格が上昇の勢いを強めており、金が金融政策の転換期のポートフォリオ・ヘッジ手段として有効であることが分かります。
「フィアット通貨*の代替資産」を求める投資家によって長期的に金の需要を促進
*金など価値ある実物資産の裏付けという制約を受けずに、政府の信用に基づいて発行される通貨
コロナ禍後、投資家の間ではフィアット通貨の代替資産に対する需要が急拡大しています。注目されるのは、これが米国および世界的な現象である点です。
世界全体の部門別債務は2025年第1四半期に過去最高の325兆ドルに迫り、名目ベースの世界GDPの約3倍となりました。重要な点は、そのうち政府債務が占める割合が30%と過去最高となったことです※11。
金は伝統的なハードマネーであり、政府のバランスシートが財政不均衡を是正できないなか構造的に恩恵を受けるでしょう。
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