コンドミニアムの在庫は3年間で2倍以上に増加?
「在庫数の増加が示す、ハワイ不動産市場の構造変化」
実際にデータを見てみると、市場における物件数の増加は明らかです。ホノルル不動産協会(Honolulu Board of REALTORS)が発表した最新の統計によれば、2025年6月時点でアクティブ物件として市場に出回っているコンドミニアムの数は2,542件に上りました【図表1】。
これは3年前、つまり2022年6月時点の998件と比較すると、わずか3年で約2.5倍以上に増加したことを意味します。また、昨年2024年6月の1,729件と比べても、1年間で800件以上の増加となっており、物件供給数の伸びが急加速していることがわかります。
一方で、一戸建て住宅についても、コンドミニアムほどの急激な伸びではないものの、確実に増加傾向が見られます。2022年6月には527件だったアクティブ物件数が、2025年6月には861件と、こちらも過去最多を記録。供給が限られやすい一戸建ての市場において、これほどの在庫数の増加は注目に値します。
在庫数の増加が注目される一方で、成約件数の動きにも目を向けると、現在の市場のバランスがより鮮明に見えてきます。
ホノルル不動産協会のデータによると、2025年6月におけるコンドミニアムの成約件数は358件でした。これは、3年前の2022年6月の626件と比べると大幅に減少しており、昨年2024年6月の355件からほとんど変化がない状態です【図表2】。
これらの数字は、現在のハワイ不動産市場が、以前よりも多様な選択肢を買い手に提供できるようになった反面、買い手は経済状況などを踏まえて、かなり慎重になっていることを示しており、市場全体にとって新たなフェーズに入ったことを裏付けています。
一方で、売り手にとっては、競争物件が増加していることを意味し、これまで以上に戦略的な価格設定や、オファー交渉における柔軟な対応が求められるタイミングとなっています。


