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違法な短期賃貸物件が急増…“バケーションレンタル”に規制
青く澄んだ海と温暖な気候、そしてリゾート感あふれる街並み。そんなイメージの強いハワイ・オアフ島において、「バケーションレンタル」は観光と不動産の両面で重要な役割を果たしてきました。
しかし近年、Airbnbなどの民泊サービスを提供するオンラインプラットフォームを利用した違法な短期賃貸物件の急増により、ホノルル市が制定した厳格な規制に注目が集まっています。
ここでいう「バケーションレンタル」とは、ホテルではないコンドミニアムや一戸建てなどの住居施設を、観光客向けに1泊単位や週単位で貸し出す形態を指します。AirbnbやVrboなどの大手プラットフォームを通じて個人が運営するケースが多く、日本語では「短期民泊」「短期レンタル」などと呼ばれることもあります。
一方で、ホノルル市が制定したバケーションレンタルへの規制が実際に効果的に機能しているかといえば、残念ながらそうとは言えません。実際、市が課した罰金の徴収率は昨年度わずか3.79%という驚くべき数字にとどまっており、これは市の財政だけでなく、住民からの信頼にも大きな影を落としています。
罰金回収率4%を下回る…数字が物語る“機能不全”
Airbnb最大級のデータを扱う「Inside Airbnb」(https://insideairbnb.com/hawaii/)によると、現在ホノルル市内には約7,900件のバケーションレンタルのリスティングが存在していますが、市に合法物件として登録されているのはわずか約2,100件にとどまっています。つまり、大多数の物件が必要な許可を取らずに運営されているのが現状です。
このような違法な短期賃貸業者に対し、市がこれまでに科した罰金の総額は2,890万ドル(日本円で約44億円)に上ります。しかし、実際に回収できたのはそのわずか3.79%、1億7,000万円程度に過ぎません(※)。
罰金徴収が機能していない背景には、いくつかの構造的な課題があります。第一に、行政の人員・リソース不足が挙げられます。違法レンタルを特定するためには、滞在記録や稼働状況の確認といった調査・証拠収集が必要であり、それには多大な時間とコストがかかります。
さらに、違法運営者の中には国内外の優秀な弁護士を雇い、問題が起きた際には、法的に強固な防御体制をとっているケースも多く、州の法執行体制が限られている離島ハワイでは対抗が難しいのが現実です。実際、同様の問題を抱えていた大都市ニューヨークでは、市が主導して違法レンタルの取り締まり体制や罰金徴収の仕組みを構築し、改善が進んでいる例もあります。
第二に、物件所有者の多くがハワイ州外や海外に居住しており、管理会社が間に入っていることで、責任の所在が不明確になりがちです。また、複数の名義や法人を利用して所有している場合も多く、法的手続きがさらに複雑になります。
このように、違反しても実質的なリスクが小さいことから、多くの違反者が自主的に撤退することなく、放置され続けているのが、現状改善が進まない大きな原因となっています。
※データ出典:https://hnldoc.ehawaii.gov/hnldoc/document-download?id=23939
