リスクはあらかじめ決めた基準で管理
1つ目は、このリスクへの対処法を事前に考えておき、発生した場合にそれを実行するやり方です。
2つ目は、リスクを認識するにとどめ、事前に対処法を作成せずに、起きた場合に考えて対応する方法です。
前者を「能動的受容」、後者を「受動的受容」といいます。後者は、リスクの発生確率または影響度が低い場合に選択されます。発生するかどうかも分からない、たとえ発生しても損害が少ないことに対し、最初から対策をあれこれ考えているほうが時間や労力の無駄であるという考え方です。
等級が「高い」リスクから「回避」→「転嫁」→「軽減」→「受容」の対応を行い、プロジェクトへの影響度を最小化していきます。
これらの4つの対処法で吸収できるリスクを超えた場合には、現場の権限では対処できないため、「エスカレーション」と呼ぶ組織の上層部に判断を仰いだり業務を委ねるなどの対応が必要になります。
このように、リスクの大きさごとに対処方法を定めておけば、問題が発生しても即座にかつ合理的に対応できます。
また、このようにリスク評価をロジカルに数値や基準で判断していくようにすれば、リスクが発生したときにズルズルと対処について先延ばしすることもありません。リスクは放置すればするほど、影響が大きくなり、取り返しがつかないことになってしまいます。投資でいえば損切りできない状態です。
やはり基準がないと、ほとんどの場合「あともう少し頑張れば、回復できるのでは」という希望的観測にとらわれてしまいます。例えば「今月で予定のスケジュールに達していなければ、人数を増やす」という対処をあらかじめ具体的に決めておけば、そうなった時点でこのリスクは顕在化したとみなして、手を打つことができます。そうすれば、無駄にリスク対処で悩むことはありません。
本来リスクマネジメントというのは、人間の主観が入り込む余地はないのです。それはしっかりとしたリスクマネジメントの仕組みがないと、人間の主観や感情がいちばん入りやすい領域でもあることの裏返しです。影響度の大きいリスクに対して「これは大したことない」と目をつぶってしまったり、反対にささいなリスクを大ごとにして騒ぎ立てたりと、認識のギャップが生まれやすいのです。
最悪の場合、プロジェクトをストップするという判断をすべき事態が生じることもあります。しかし、これまで投下してきた費用が回収できなくなることを嫌い、またプロジェクトマネージャーとして失敗を認めたくないというプライドも邪魔をして決断できないこともあります。こうした認知や感情のバイアスの影響を受けないためにも、あらかじめ決められた基準でリスクを管理することで、誤った判断を排除することができます。
後藤 彰弘
最高経営責任者
株式会社MixturePlus
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