②反脆弱性
「反脆弱性」という言葉は、哲学者であり作家であるナシーム・ニコラス・タレブが提唱した概念です。彼の著書のなかで「反脆弱性」は「脆弱性」と正反対の性質として定義されています。通常、「脆弱」とはストレスや変化、混乱に対して壊れやすく、被害を受けやすい状態を指します。一方、「反脆弱性」とは、そうしたストレスや混乱に耐えるだけでなく、それを力に変えて成長することを意味します。
ビジネスの現場における反脆弱性とは、外部からの圧力や混乱、不確実性に直面したとき、ただ耐え忍ぶのではなく、それらを活用して自身のパフォーマンスを向上させようとする概念です。この考え方を持つ人は、多くの人が避けたがる困難や逆境にもあえて挑戦し、それを自己成長の糧とすることができます。
例えば、あるビジネスが市場の急激な変動や予期せぬトラブルに直面したとき、ただその状況に耐え抜いて元に戻ることだけを目指すのは「レジリエンス(回復力)」です。しかし、「反脆弱性」の考え方を持つビジネスは、その変動を逆に利用し、新しいビジネスチャンスを見つけたり新しい戦略を試したりすることで、さらに成長することができます。
このように、「反脆弱性」は積極的に変化を受け入れ、それを成長の糧とするための戦略的な思考です。
③アンダーマイニング効果
アンダーマイニング効果(Undermining Effect)は、報酬やインセンティブが動機づけに与える影響を示す重要な心理学的現象です。この効果を理解するためには、まず「内的動機づけ」と「外的動機づけ」の違いを知ることが重要です。
内的動機づけとは、活動そのものが楽しかったり、興味深かったりすることで行動が促される状態を指します。例えば、趣味で楽器を演奏することや、純粋な知的好奇心で本を読むといった行動がこれに該当します。一方で外的動機づけは、金銭的報酬や賞賛、昇進といった外部から与えられるインセンティブによって行動が促される状態を指します。
しかし、もともと内的動機づけで行っていた活動に報酬が与えられることで、その活動が「仕事」「義務」として認識されてしまい、楽しさややりがいが低下するマイナスの効果もあります。これがアンダーマイニング効果です。他者からの評価や報酬を強く意識することで、活動自体の魅力が薄れ、内的動機づけが弱まってしまう恐れがあるのです。
つまり外的報酬は、短期的にはパフォーマンスを向上させますが、長期的には探究心や創造性を阻害する影響も考えられます。報酬が目的化してしまうと、報酬がなくなった途端にその活動を続ける意欲が失われることが多いのです。
アンダーマイニング効果は、決してすべての場面でマイナスに生じるわけではありません。単純作業や創造性を必要としないタスクでは、外的報酬がパフォーマンス向上に効果的な場合も多いです。ただし、学習や創造的な活動、自由な発想が求められる場面では、マイナスの効果が顕著に表れやすいことに注意が必要です。
後藤 彰弘
最高経営責任者
株式会社MixturePlus
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