あなたのせいで精神疾患になりました、責任取ってください…「キツイ仕事を割り振られた」と激高する部下から届いた恐怖の手紙。上司が決して「即刻謝罪」してはいけないワケ

あなたのせいで精神疾患になりました、責任取ってください…「キツイ仕事を割り振られた」と激高する部下から届いた恐怖の手紙。上司が決して「即刻謝罪」してはいけないワケ

「あなたのせいで精神疾患になってしまった」……。そんな風に部下から責任を追及された場合、上司としてどのような行動をとればよいのでしょうか。本記事では、加藤京子氏による著書『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集して、部下からの逆パワハラに悩む上司がとれる「3つの対処法」について、具体的に解説します。

部下への3つの対処法(a、b、c)とは?

a. 確認する

事実のみを究明します。

 

1.精神疾患の再発の原因(業務に基づく精神疾患であることの証明)が必要

仮に、再発だったとする場合、原因は、本当に上司の指導なのでしょうか。「少し責任のある仕事(内容を含めて)を」、という点についても、面談の上で決めたはずですが、ここはブラックボックスです。

 

「職場の環境」(責任の重すぎる仕事、仕事上の失敗やハラスメント等)が原因なのか、もしかしたら、「個人的な要因」(たとえば、家族や金銭面。家庭環境、体質等に関する業務外の心理的負荷)なのか、様々な発生要因があるかもしれなせん。

 

こうして、業務と関係のない原因を除外していく必要があります。業務起因性が認められ「労災」と認定された場合は、会社が損害賠償義務を負う可能性が高くなります。

 

2.今までの、周囲の証言や記録を確認し、他の社員の意見も参考にする。

 

  • 口頭のやりとりをメモに残す
  • 可能ならメール等文章でやり取りする(証拠が残る)
  • いつ、どのような指導をしたのか、の記録も必要です。

 

b. 境界線をつくる

1.事実関係の確認(「事実」と「意図」を整理する、仕事内容を確認する)

「私の本来の意図は〇〇でした。その点について、もう少し詳しく説明させてください」

 

「私の●●●といった発言が行き過ぎていたのですよね」、等意向を確認してください。

 

2.受け止める姿勢

・こういった対立構造の場合、1対1で直接話すことは避けた方が良いのですが、たとえ複数の場合であっても、記録は残してください。

 

・冷静さを失わないでください。感情で対応すると「パワハラ認定」「会社全体の責任問題」に発展するリスクがあるためです。

 

・もし、相手の考えに理解を示す場合には、言葉の選択は注意してください。「そういう風に感じさせてしまったんですね」で留めます。「だから、私が悪かった」という脈絡で、あなた自身の責任を認めさせる発言になってはいけません。

 

■適切

  • つらい思いをさせてしまったのですね
  • 状況を、詳しく聞かせてもらえますか?
  • どのような点が特に負担だったのでしょうか?
  • そういう風に感じさせてしまったのですね

 

■不適切

  • そんなこと言われても困る→部下の怒りを増幅させます
  • 病気になるほどじゃないでしょ→症状を軽視する態度は危険です
  • 君の甘えじゃないの→一発アウト

 

c. 結節点をみつける

医師の診断が先になります。会社の対応ルートに載せてください。決して、個人で判断してはいけません。もちろん、個人で謝罪や補償を考えてもいけません。「責任を取る」ことと「適切な対応をする」ことは別です。必ず会社の人事・労務・産業医に相談してください。

 

精神疾患は、仕事内容との因果関係の見極めが難しいので、医師の確認無しに、事を進めるのは、危険です。会社責任だということになると、問題の種類が変わってきますので、拙速に謝罪することはやめましょう。

まとめ

  • 個人で解決しようとせず、会社の労務部門に相談する
  • 言われたことや状況を記録し、証拠を残す
  • 「責任を取る」のではなく、「適切な対応をする」

 

 

加藤京子
H・Rサポート、株式会社クレドコラ(credocara)代表

 

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※本連載は、加藤京子氏による著書『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

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