ちょっと注意をしただけなのに…「労基に行く」「弁護士に訴える」とキレる部下。上司が取るべき“逆パワハラ対策”とは

ちょっと注意をしただけなのに…「労基に行く」「弁護士に訴える」とキレる部下。上司が取るべき“逆パワハラ対策”とは

ちょっとした注意喚起から、ひねくれてしまって「労基に訴える」と、威喝してくる部下がいます。上司としてどのような行動をとったらよいのでしょう。本記事では、加藤京子氏による著書『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集して、部下からの逆パワハラに悩む上司がとれる「3つの対処法」について、具体的に解説します。

部下への3つの対処法(a、b、c)とは?

部下の主張の内容を整理し、会社として正式な対応をとっていきます。業務時間中に適切な働き方をするのは当然のことなので、「注意する行為」は間違っていませんが少し考えてみましょう。

 

部下が逆ギレするのは、「叱られたこと」への不満や、「自分は悪くない」と思い込んでいる可能性があります、また、「職務専念義務違反」という表現は法的にも正しいのですが、いきなりこの言葉を使うと、相手が「攻撃された」と感じ、反発しやすくなってしまうのかもしれません。アプローチに工夫が必要です。

 

a. 確認する

●事実を指摘する

それについて、どう思うかということ、なにか改善に向けての考えはないかと問いかける等、段階を踏んでください。

 

「いま、業務時間中だけど、タバコの回数が多くないかな?」

「他の人と比べて離席の頻度が多いようだし」(事実を指摘します)

「他のメンバーと比べても、休憩時間が長いように思うけど、どう思う?」(問いかけします)

「業務時間中は、しっかり仕事に集中してほしいんだよ」(やわらかく伝える)

 

b. 境界線をつくる

●部下の状況を聴きながら、別の話(賞与の話等)が出てきたら軌道修正する

「いまは、休憩時間の話をしているんですよ。どう思いますか」不満が出てきたら、「そうなんだ、そうだったんだ……」と他人ごとで聞いてください。

 

「それは大変だったよね、そういうのが苦しかったんだね」と相手の状態だけを表現してください。くれぐれもあなたが、それに同化してはいけません。

 

c. 結節点をみつける

1.目的を確認する

「どういう目的で、労基に行くのでしょうか」と、部下の話を落ち着いて、聞くようにします。このように部下の主張の「目的を確認する」のは、他のシーンでも有効ですので覚えておいてください。

 

2.解決策にむけて

①改善方法を一緒に考える

逆ギレする人は、「叱られた!」と感じると防衛本能が働きます。ですので、「改善方法を一緒に考える」という視点に変えると、相手も受け入れやすくなります。

 

「仕事の効率を考えると、もう少しバランスを取る必要があるね」(業務改善の視点を投げかけます)

「どうすれば仕事と休憩のバランスが取れるかな?」「タバコの回数を減らす工夫はできそう?」「他の人と比べてどう思う?」(相手に考えさせる)

 

※「自分の意見や不満がすべて通る」という姿勢が強まると、批判的な言動や態度がエスカレートしますので、要所を押さえながら話してください。

 

※改善に向けては、職場のルールを明確(休憩回数・喫煙ルールを文書化)にして、「他の人と比べて不公平」と思われないようにしてください。もしルールが曖昧であれば、「◯回以上の離席は業務に支障が出るため見直しが必要」等、是正基準を設けてください。

 

②指導のステップを決めておく

そのあと、ルール違反や不適切な行為が続く場合、指導のステップを決めておきましょう(口頭注意→書面注意→人事相談等)。あなた一人で負荷がかかるのであれば、社内の相談窓口にも協力を仰ぎましょう。

 

これは「個人の問題ではなく、職場環境の問題」です。「職場の規律の問題だから、上司や人事にも相談するね」と伝えてください。

 

3.上位者に相談をあげるとき

離席の回数や時間を記録(何時から何時までいなかったか)しておきましょう。他の人との比較もできると客観的なデータになります。

 

※「何度注意しても改善しない」場合は、「◯月◯日から3回注意したが、そのあとも改善されない」等、具体的な記録を残します。

 

※「他のメンバーの士気にも影響している」という言葉を使って、あくまで個人ではなく、職場全体の問題として伝えます。

 

4.やってはいけないこと(状況を悪化させるため控えること)

①宣戦布告する

労働基準監督署が問題にするのは、労働基準関係法令を守らない会社です。ハラスメント自体は、労働基準関係法令で定められておらず、対応は総合相談コーナーとなります(6章参照)。だからといって強気に出て、

 

・「監督署、勝手に行けば?」→これをいうと、対立を激化させるだけです。

・「そんなことで監督署が動くわけないでしょ」→逆に火をつけてしまいます。

・「脅すつもりか?」→感情的な対立に発展します。

 

②白旗を上げる

面倒だな、穏便に済ませたほうがいいかと思って、部下の要求事項を受け入れてしまうことはやめてください。監督署に行くのも、弁護士に相談するのも、個人の自由です。あなたが拒む等の権利はなく「行かないでください」というのもやめましょう。

 

また、相手がそのような話をちらつかせて、金品を要求してきたら、恐喝罪にあたる可能性があります。応じないでください。

 

まとめ

・監督署に行くといわれても感情的に反応せず、まずは「なにが問題なのか」を確認する

・いわれたことを記録し、証拠を残す(いった・いわないを防ぐ)

 

 

加藤京子 H・Rサポート、株式会社クレドコラ(credocara)代表

 

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※本連載は、加藤京子氏による著書『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋

部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋

加藤 京子

日本能率協会マネジメントセンター

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