「リフォーム工事と新築工事」の違い
親から相続した自宅ですが、屋根の雨漏りがひどいので全面的にリフォーム(改修)工事をすることにしました。
工事代金も高額になることから、施工業者に責任を全うしてもらいたいのは言うまでもありませんが、それ以外に瑕疵が発生した場合や施工業者瑕疵担保期間内に施工業者が倒産した場合でもきちんとした補修工事が行われるようにしたいと考えています。
リフォーム工事の瑕疵保険にはどのようなものがあるのでしょうか。
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現在「リフォームかし保険」が国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社である住宅瑕疵担保責任保険法人から提供されています。
これは、リフォーム時の検査と保証がセットになった保険制度で住宅瑕疵担保責任保険法人が保険を引き受けます。
1 リフォーム工事と新築工事の違い
新築工事の場合は、建設業法3条に基づき、「軽微な建設工事」のみ請け負う場合を除き、建設業の許可を受けなければなりません。
また新築の場合は、ほとんどのケースで1業者が工事完成まで担当することから責任関係が明確になります。その上、新築工事ですから材料も全て新しいものであり、本来性能上の問題は発生しないはずです。
これに対してリフォーム工事は建設業法3条の「軽微な建設工事」に該当するケースが多くあります。
軽微な建設工事とは、①建築一式工事については請負代金が1500万円未満の工事又は延べ面積が150m2未満の木造住宅工事であり、②一式工事以外の建設工事については請負代金が500万円未満の工事をいいます。
リフォーム工事の大部分は500万円未満の工事ですからリフォーム工事を行うためには建設業の許可を必要としません。
また、リフォーム工事は既存住宅(築後の経過年数が長期間のものも多い)を対象として工事を実施するため、取り合い部分の工事が困難なばかりか、工事内容が施主に明確に伝えられておらず、工事の効果そのものについても施主と施工業者の間で認識が一致していないケースもあります。
そのような事情から、「リフォームかし保険」の需要が従前から提唱されていました。
施主に対して瑕疵担保責任を負っている「工事業者」
2 リフォームかし保険の加入
リフォームかし保険に加入するのは施主ではなく工事業者(事業者)です。
施工業者は住宅瑕疵担保責任保険法人(以下「保険法人」といいます)へ事業者登録することが必要です。保険法人では登録された事業者について、保険利用件数などの情報も公開していますから、保険への加入を希望する施主は、リフォーム事業者を保険法人の登録事業者の中から探して、リフォーム工事に際して保険への加入を依頼して加入してもらうことが必要です。
3 現場検査について
リフォームかし保険に加入するためには、リフォーム工事の施工中や工事完了後に、第三者検査員(建築士)による現場検査が実施されます。
これによって、工事の内容が明確になり、記録として残され、契約当事者間でも工事内容について共通認識を持つことができます。
仮に工事完成後に瑕疵が発生したとしても、工事内容が明確になっていればその原因並びに施工業者の責任の有無を明確に判断することが可能です。
4 工事完成後に瑕疵が発生した場合
工事業者が施主に対して瑕疵担保責任を負っています(リフォームかし保険に加入しているケースにおいては施工業者が施主に対する瑕疵担保責任を免除されているケースはあり得ません)。
施工業者は補修工事を実施した場合、補修工事費用などについて保険法人から保険金を受け取ることができます。補修に係る費用を保険でカバーできるので必要な補修工事が確実に実施できます。
5 保険期間と事業者の倒産
保険期間は、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入」については5年、その他の部分は1年というものが多いです。
あくまでリフォームの請負契約に基づき工事を実施した部分が保険対象となります。
仮に保険期間内に事業者が倒産している場合でも、保険期間内であれば施主が保険法人に対して補修工事費用を直接請求することができます。