Aさんが記入した“ありのままの事実”とは
・4,500万円は預金から捻出したこと
・不動産の名義はすべて妻であること
するとその4ヵ月後、再び税務署からAさんのもとに連絡が。なんと税務調査の対象となったのだと言うのです。
そして税務調査の結果、夫婦には2,000万円もの追徴税が課せられるはめに。
思わず憤慨するAさん。いったい、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?
追徴税「2,000万円」の内訳は…
妻が専業主婦となってから約40年間、Aさんの給与はすべて妻のBさん名義の口座で管理してきました。そのため、預金残高6,000万円のほぼすべてが夫Aさんの給料と退職金です。
税務署は、返送された「お尋ね」の内容から、購入された戸建てがBさんの口座から支払われていたことを確認。
そして税務調査で預金の源泉がすべてAさんのものであることを確かめました。これにより、不動産購入価格の4,500万円が夫の「名義預金」から支払われたと判断し、その分の贈与税約2,000万円を追徴課税として請求することとなったのです。
税理士からアドバイスを受けていたが…
実は、家を購入する際、不動産会社の税理士から「お金の出所と名義を一致させないと贈与税のリスクがあるので気をつけてください」とアドバイスを受けていました。しかし、夢の一軒家を前に浮き足だっており、アドバイスは右から左。あまり深く考えずに購入に踏み切り、不動産の名義もそのまま妻としました。
この場合、実際に「妻のお金」であればなんの問題もないのですが、Bさんは長年専業主婦であり、夫の収入で生活していたため、Bさん名義の預金であっても税務署としてはあくまでも“Aさんのもの”。そのため、「贈与した」と判断されてしまいました。
A夫婦のように、「夫のみが働いていて、妻が専業主婦」という場合には、不動産購入時の名義を夫としておく必要があるのです。
「おしどり贈与」の活用も有効
あるいは、A夫婦は婚姻期間が20年経過していることから、購入資金の一部を「おしどり贈与」(詳細は後述)してもよかったかもしれません。これを活用すれば、最大2,110万円を非課税にすることが可能です。

