経験が豊富で、確かな実績を上げている――。これらは昇進の場面などで評価を左右する重要なポイントの一つです。しかし、エグゼクティブクラスにおいては、それだけでリーダーにふさわしいと判断されるとは限りません。むしろ、より重視される別のポイントがあるといいます。今回は、エグゼクティブ転職の専門家・井上和幸氏が、エグゼクティブとして求められる振る舞いについて、詳しく解説します。
エグゼクティブは見かけが9割なのか?
人は見かけが9割といいますが、本当でしょうか?
幹部人事に関わる社長・取締役・人事責任者に対しての「役員に昇進させる際に、<らしさ>や<見栄え>が影響するか」というオフレコの調査では、YESという声が多いといいます。ではどうすればあなたは「役員に昇進するにふさわしい人らしく」なれるのでしょう?
昇進できる人は「見かけ」ではなく…
後継者育成、エグゼクティブ育成、組織設計を専門とするビーソン・コンサルティング社の社長、ジョン・ビーソン氏によれば、経営幹部に欠かせない要件として「エグゼクティブ・プレゼンス」があるといいます。
このエグゼクティブ・プレゼンスとは、ある程度直感的なもので、明確に定義するのは難しいものの、究極的には「成熟した自信を醸し出す能力」を指します。この例としてビーソンは3人のマネジャーを挙げ、誰がそのなかで昇進を果たしたかについて紹介しています。
豊かな経験を持ち、成果主義で、協調性に富み、会社への忠誠心も厚いA氏。専門分野ではトップレベルの業績を上げていたが、いつも「よれよれした」印象で、少し猫背。経営陣へのプレゼンには準備万端で臨んだが、身振り手振りに落ち着きがなく、話が長ったらしくまとまりに欠けていた。幹部たちへの話し方は慇懃無礼だった。
B氏はこれまでの任務ですべて高い業績を上げてきた。その力に経営陣も一目置いていた。ただ、会議にはいつも遅刻してきて、書類を乱雑に抱え慌ただしく駆け込んでくる。行動ががさつで、自分の態度が周囲からどう思われているかについて無頓着であった。
C氏は日ごろは決して目立つ存在ではない。だが、ひとたび会話が始まれば、口調は柔らかく、押しが強すぎずに明確な意見を述べる。聴く力が高く、どのタイミングで会話に入り自分の意見を述べるべきかを感覚的にわかっていた。物腰は落ち着いていて、率直で、どのような場でもうろたえず、周囲が感情的になっても冷静さを保った。難しい状況では、とぼけたユーモアで場を和ませ、他から挑戦されても真っ向から反撃したりせず、毅然とした態度を貫いた。
さて、皆さんはA氏、B氏、C氏、どの人が昇進抜擢されたと思いますか? 一目瞭然ですね、はい、C氏です。A氏、B氏は仕事ぶりには評価は高かったものの、上級幹部に抜擢されることはありませんでした。
エグゼクティブ・プレゼンスとは、この人ならば困難で予測不能な状況をコントロールし、難しい決断を迅速に下し、他の優秀で頑固な幹部たちにも引けを取らず、彼らをまとめあげることができるだろう、というイメージを指しています。
3人の例から学べるのは、立ち振る舞いや身だしなみ、話し方や態度が大きく影響を及ぼしていることです。
皆さん、周囲のマネジャーたちや経営陣をご覧になって、どうですか?
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株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人材開発部、広報室、学び事業部企画室・インターネット推進室を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。
2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供している。人材コンサルタントとして「経営者力」「リーダーシップ力」「キャリア力」「転職力」を劇的に高める【成功方程式】の追究と伝道をライフワークとする。 実例・実践例から導き出された公式を、論理的に分かりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。自ら2万名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験を持つ。
著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(共著、東洋経済新報社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)、『プロフェッショナルリーダーの教科書』(共著、東洋経済新報社)、『人物鑑定法 あの人も、丸見えになる』(経済界)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。取材・コメント・出演実績として、「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日刊工業新聞」「週刊東洋経済」「日経ビジネス」「GQ JAPAN」「週刊現代」「プレジデント」「AERA」「月刊BOSS」「CIRCUS」「日経ビジネスオンライン」「ITmediaエグゼクティブ」「BOSS online」、フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「キカナイトF」、その他業界誌等多数。
株式会社 経営者JP
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連載相談実績2万名超の経営人材コンサルタント直伝!“エグゼクティブ転職”成功マニュアル