普段は自社で採用面接を行っているエグゼクティブでも、いざ自らの転職活動で応募者の立場になると、どうしても「話す側」の意識に偏りがちです。そこで今回ご紹介するのが、自分自身を面接する「バーチャル面接官体験」。書類選考から一次面接、最終面接までを面接官の視点で自らを評価することで、これまで気づかなかった強みや弱み、さらには思わぬ落とし穴を発見できます。エグゼクティブ転職の専門家・井上和幸氏が、その具体的な方法を詳しく解説していきます。
面接官になって「バーチャル面接」をしてみよう
エグゼクティブの皆さんの中には、自社で採用面接官を務めている人も多いかと思います。ところが、いざ自分自身が転職する立場になると、なぜか「面接官の視点」を忘れがちです。
今回は、ご自身が採用される確率を上げるための手立てとして、「採用する側からの見え方、感じ方、判断の仕方」をシミュレーションしてみることをおすすめしたいと思います。自分自身を採用する「面接官」になってみて自らをバーチャル面接してみることで、転職活動で気がつかなかったあなたの強みや弱み、意外な落とし穴を発見してみましょう。
※今回は、転職応募者であるあなたのことを『応募者』と表記します。
面接官として、あなたの職務経歴書・履歴書を読んでみる
まず書類選考です。ご自身の職務経歴書、履歴書を手元に用意します。書かれている情報だけで判断するようにしてくださいね。
さて、『応募者』の経歴は理解できましたか? 単にこれまでの会社名、部署名や肩書が分かっただけではいけませんよね。そのときどきに、どのような職務をされていたのか? そこでどのような成果をあげたのか? それはなぜ、そうした成果をあげることができたのか?
これらを通じて、『我が社』が採用したいと思える経験・スキル・専門性がリアリティを持って書類から読み取れたでしょうか? なによりも、その一連の記載情報から、何か<グッと惹かれるもの>はありましたか?
最近はGPTなどAIで職務経歴書を書かせる人も増えています。自分のこれまでの職務歴情報をAIに渡して編集してもらうのは非常に効率の良い作業です。自分自身で書くよりもわかりやすい表現での職歴を瞬時に書き出してくれるでしょう。
ただ、最近はAIが作成した原稿をそのままファイルに貼り付けて提出していると思われるケースが、明らかに増えてきました。この場合、文章としては綺麗なのですが、表現が平板・無味乾燥であったり、事実誤認がところどころに含まれていたり、何よりも<グッと惹かれるもの>のないレジュメになってしまっていることが非常に多いのです。
AIは行間を埋める際に不正確な情報を生成する場合があります。また、一般論的な文章は得意ですが、読み手の心に響くような情緒的な表現は苦手です。この部分に最大留意し、AIが書き出してくれた文章に、自身でしっかり行間を埋めたり、事実確認の上で正しい情報に修正したり、自分自身のその時々の考え、想いなども書き込むことを忘れないようにしましょう。
読み手に的確かつ情緒的に伝わる職務経歴書(履歴書)を提出するところから、勝負はスタートします。その割には、特に職務経歴書の記載に力を十分に入れていない人が多くいらっしゃるように思います。応募書類を読んでもらわないことには、何も始まりません。ぜひ、気合を入れてレジュメのセットアップに臨んでいただければと思います。
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株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人材開発部、広報室、学び事業部企画室・インターネット推進室を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。
2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供している。人材コンサルタントとして「経営者力」「リーダーシップ力」「キャリア力」「転職力」を劇的に高める【成功方程式】の追究と伝道をライフワークとする。 実例・実践例から導き出された公式を、論理的に分かりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。自ら2万名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験を持つ。
著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(共著、東洋経済新報社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)、『プロフェッショナルリーダーの教科書』(共著、東洋経済新報社)、『人物鑑定法 あの人も、丸見えになる』(経済界)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。取材・コメント・出演実績として、「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日刊工業新聞」「週刊東洋経済」「日経ビジネス」「GQ JAPAN」「週刊現代」「プレジデント」「AERA」「月刊BOSS」「CIRCUS」「日経ビジネスオンライン」「ITmediaエグゼクティブ」「BOSS online」、フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「キカナイトF」、その他業界誌等多数。
株式会社 経営者JP
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連載相談実績2万名超の経営人材コンサルタント直伝!“エグゼクティブ転職”成功マニュアル