前回は、企業や投資家たちが、今ベトナムへと向かう理由について解説しました。今回は、なぜベトナム人は預貯金よりも、不動産や金として資産を持ちたがるのか、彼らの金銭感覚から考察します。

将来の不安に備えた貯金より、今の楽しみを優先!?

ベトナム人の不動産に関する考え方を見ていく前に、ベトナム人の金銭感覚について少し触れておきましょう。

 

南北に長い国なので一概に当てはまりませんが、大半のベトナム人の場合、必要以上の預金をしません。所得が少ないのも原因の一つですが、どこかの国のように将来の不安のために過度な預金をするわけではなく、確実にある今の楽しみのためにお金を使うそうです。

 

身近なベトナム人を見ていると、給料の割りに高額な携帯電話やバイクなどを気軽に購入したり、高額なレストランでも食事をしたりします。「それで生活は成り立つのか?」と聞くと、大体のベトナム人は「稼げば良い」と簡単に答えます。

 

確かにこの国は、能力のあるベトナム人は外資からの引き抜きもあり、給料はどんどん上がっています。また、副業も当たり前で、会社に勤めながら事業を立ち上げたり、スキルを活かした業務の掛け持ちや、不動産・株式投資など、大なり小なり何かと行っています。

 

ここまで読むと、ベトナム人は楽観的で野心家だとも言えますが、しっかりしたところもあり、必要でないものにはお金を使わない一面もあります。無駄使いをしないのもベトナム人の特徴の一つです。

 

「家を持ってこそ一人前」・・・住宅への思い入れは強い

ベトナム人は、住宅に関しては強い思い入れがあります。家を持つことが、一人前の男として挙げられる条件でもあり、住宅購入のために頭金を貯めて、残りは親族から借入する形で購入するケースが最も多いです。

 

最近は銀行からの借入も増えてきましたが、貸付金利が下がって来たとは言え、6%前後の高い金利を払うより、親族からの借入がまだまだ多い状況です。また、持ち家のタイプでは圧倒的に一軒家の人気が高く、マンションタイプは住居用ではなく、投資用として考える人が多いです。

 

ベトナムでは土地は国の所有物であるため、土地の使用権が権利として認められています。ベトナム人、ベトナム企業の場合は永久使用権があり、都市開発などでの区画整理や道路拡張にかからなければ、安心した資産として引き継いで行けます。

 

税制面では相続税、贈与税も二親等以内なら無税なので、資産として次世代に不動産を引き継いでいく事も当たり前に考えられています。そのため、お金が貯まったら不動産、もしくは金(ゴールド)に変えて次世代に引き継いでいく考えが根付いています。

不動産の購入は、キャピタルゲイン重視の傾向

銀行の預金金利はドン建てで、年利7%前後の金利が付きますが、銀行に預けるベトナム人は少なく、特に資産家は現金を不動産や金(ゴールド)に変える傾向が強くあります。

 

また、不動産を購入するベトナム人にも傾向があり、すぐに利益が見込める利回り物件をメインに購入するタイプと、利益はすぐに見込めないが将来的なキャピタルを考え、長期で2倍~10倍以上になるような土地や建物を購入するタイプに二分されます。どちらかと言うと借入ではなく資産があるので、じっくりと対応できる後者の方が多いように見受けられます。

 

弊社がベトナムで販売しているプロジェクト(約1万室のコンドミニアム)も外国人が購入できる枠が法律で決められており、開発プロジェクト販売棟数の30%若しくは販売棟の30%と規制されています。

 

昨年の法改正後、外国人が手軽に購入できるようになりましたが、それでも残り70%はベトナム人の購入枠です。ベトナムの一人当たりのGDP 2176ドル(2015年GDP外務省発行)からみても決して安い買い物ではありませんが、確実に買えるベトナム人が大半を購入して完売状態が続いています。

 

以上のようにベトナム人は不動産や金(ゴールド)を資産として次世代に繋げる考えが強いので、普段から不動産関連の情報には非常に興味があり投資しやすい環境が整っています。

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