外国人の不動産購入解禁から約1年半が経過
前回も少しお話しましたが、2015年7月1日の住宅法改正後、ベトナムでは外国人が不動産使用権を購入できるようになりました。長年ベトナムに携わっていた外国人は、この住宅法の改正内容に驚いたのではないでしょうか。実は私もその一人です。
住宅法改正後約1年半が経過しましたが、今回は実際の販売実績を踏まえながら、外国人・外国企業のベトナム不動産の購入条件について、改めて検証していきましょう。
ビザ取得は不要に、物件情報は建設省のサイトで確認を
外国人、外国企業の不動産購入条件
➀査証(ビザ)
当初はビザ取得が必要と解釈されていましたが、実際はビザについては特別に取得する必要はなく、ベトナムに入国できる15日以内の観光目的でも、入国が認められたら購入可能です(パスポートに入国印があることを確認後)。
②外国人向け不動産物件の購入戸数制限
外国人投資向けに開放される不動産物件は、開発ライセンスを取得した物件に限り、コンドミニアム(分譲マンション)と戸建て住宅のみとなります。外国人が購入できる戸数は分譲マンション1棟につき最大30%、戸建て住宅は1街区につき最大250戸と制限されています。
当初の解釈から大きな変更はありませんが、現在までの販売実例から見ると、コンドミニアム(分譲マンション)と戸建て住宅以外に、条件付きですが、テナントショップも購入可能です。
中古物件は原則的に購入できませんが、外国人(外国人名義)が購入した物件に関しては、使用権期間を引き継いでの購入が可能です。但し、関係部局に申請後、許可を得た物件に限ります。
③外国人投資家の権利
外国人に与えられる土地使用権の期限は、土地使用権証明書の発行から50年間ですが、有効期限の3カ月前までに手続きを行えば、1回の権利更新ができます。
当初の解釈と違うのは、更新期間について明確になっていないところです。一般的に戸建ての場合は、1回の更新で50年、計100年が可能となりますが、コンドミニアム(分譲マンション)の場合も1回の更新が認められているものの、更新期間が50年ではなく20年ほどで制限されると言われております(法整備や今後の状況を踏まえ現実的に対応)。
その他の権利として、賃貸、担保、売却、贈与、相続等があります。売却、贈与、相続により、所有者は土地使用権の期限満了前に不動産の売却、贈与を行うことができます。ベトナム人に販売する場合は、使用権の期限は永久(都市計画、道路整備等での変更あり)になりますが、外国人に販売する場合は、元の所有者の使用期間継続引継となります。
海外の外交官や政府関連者、ベトナム政府が購入を認めない外国人・外国企業は、土地使用権の購入はできません。
➃外資企業の購入条件
ベトナム投資法に基づいて設立された外資企業のほか、外国企業の支店、駐在員事務所、外国投資ファンド及びベトナムで活動する外国銀行の支店に対して、住宅所有が認められています。従って、ベトナムに拠点(現地法人・支店・駐在事務所)を持たない外国企業の住宅取得は認められておりません。所有権の存続期間は、企業の存続期間と同等とされ、企業の存続期間を超えて延長することも認められていません。利用用途も社宅用に限定され、第三者への賃貸も認められていません。
売却、贈与、担保に関しては個人と同じように認められていますが、条件付きもあり、事前に監督機関での確認が必要になります。
⑤外国人に投資開放していない地域
住宅法改正によると、外国人に投資開放をしていない地域として国防や安全保障に関わる地域に位置する物件に投資することができません。気を付けないといけないのは、確かな情報ばかりではないという点です。投資する物件が外国人の投資向けに開放されている建設プロジェクトであるかを注意し、確認する必要があります。
海外投資向けに開放されている建設プロジェクト、外国人が所有できるコンドミニアム(分譲マンション)、戸建て住宅の戸数は、建設省のウェブサイトに掲載されます。
ベトナムで不動産を購入する前に注意、確認する事がまだまだあります。直接、デベロッパーもしくはデベロッパーの正式販売代理店に、外国人の購入条件を事前に確認しておくことをお勧めいたします。日本では当たり前の事が、海外では当たり前ではない場合も多々ありますので、確認できる事はしておくことが大切です。
以上のように、住宅改正法後は外国人が容易にベトナムの不動産を購入できるようになりましたが、まだまだ改善点や落とし穴がたくさんあります。
次回も引き続き、外国人のベトナム不動産購入、購入後の注意点も含めて解説していきます。