高値は企業業績の見通しと金利にポジティブな変化が理由
その背景として、支払われた配当金が投資家の手元に届く時期であるためとか、株主総会シーズンであるからなどの需給要因を指摘する声がある。そうした面もあるのかもしれないが、もっとシンプルに、株価の基本的な決定要因である企業業績の見通しと金利にポジティブな変化があったことが一番の理由だと思う。
まず予想EPS(一株当たり純利益)が約2,500円に上方修正されてきた。これはトランプ関税の影響が当初よりは楽観視されてきたことに平仄を合わせたものだろう。
次に金利低下である。筆者はこれが一番大きな材料だと思う。日銀は今週開催した金融政策決定会合で政策金利を0.5%に据え置くと同時に、2026年4月以降の国債買い入れ減額ペースを、四半期ごとに2,000億円程度に縮小する方針を示した。植田総裁の会合後の記者会見も慎重姿勢が目立ち、市場では「ハト派」的との受け止めが広がった。さらに、財務省は超長期債の発行計画を圧縮する。20、30、40年物の国債について7月から1回あたりの起債額をそれぞれ1,000億円ずつ減らすと報じられている。
まとめると、日銀が利上げを急がず、国債の需給も改善する――当然、債券市場は堅調となる。
下記の図表2からもわかるように、業績(EPS)見通しが持ち直し、金利が低下基調となれば、株価が上向きとなるのは当然だろう。今週の日経平均の上昇はファンダメンタルズの改善を素直に反映したものだ。

