本記事のポイント
・ドルの弱さの根底にあるもの
悪材料が重なり日経平均株価は続落
本稿執筆現在(2025年6月13日前引け時点)、東京株式市場で日経平均株価は続落となっている。午前の終値は前日比で500円あまり下げた。今日は悪材料が重なった。
1)まず、昨日米国で発表されたPPI(卸売物価指数)でインフレの鈍化傾向が鮮明となり、前日のCPI(消費者物価指数)の鈍化と併せてFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が台頭、ドルが売られ円高となったこと。
2)寄付き直後にイスラエルがイランの核関連施設を攻撃したと伝わり、リスクオフが強まったこと。さらにいえば、通常は「有事のドル買い」となるところが前述のとおり、米国の利下げ観測に加え、トランプ関税によるドル離れの基調があるためドルに資金が回帰しない。結果的に安全通貨との印象が強い円が強くなる構図。
3)トランプ米大統領が自動車関税の引き上げの可能性に言及したこと。
これらは来週15日からのG7サミットの場で日米首脳会談によって通商交渉を一気に決着させようとしているタイミングだけに、非常に間の悪い話だ。
それでも下げは限定的だ。日経平均の下げ幅は一時600円を超えたものの、その後は下げ渋っている。
まず中東の有事だが、基本的に短期収束のシナリオを市場は見込んでいると思われる。イランの報復攻撃は必至だが、ともに施設への攻撃にとどまり人的被害はないだろう。そうなると戦争を好まないトランプ米大統領がイスラエルを止めに入るだろう。
