金銭感覚の違いがもたらす、夫婦関係のひずみ
金銭感覚は人それぞれ違います。育ち、経験、性格、価値観などによって大きく異なり、夫婦関係に影響を及ぼすことも少なくありません。
ある人にとっては「節約」でも、別の人にとっては「ケチ」に感じられることも。その違いが積み重なれば、大きなストレスになることも。
本来「節約」とは、例えば、家族で旅行に行くため、あるいは子どもの教育費を用意するために、趣味に使う支出を抑える。このように、目的をもって無駄を減らすことを意味します。あくまで自分で選ぶ前向きな工夫です。
一方で「ケチ」は、お金を出し渋り、必要なものにも使わず、楽しみや自由を奪い、人の選択にまで口を出すような態度を指します。
人それぞれ感覚は違えど、美代子さんにとって夫の行動は節約を超えた「ケチ」でした。その状況でも我慢できていたのは、夫に仕事があったからです。
「彼が働いていた頃は我慢できました。忙しくて家にいなかったし、距離感がありましたから。でも、ずっと家にいるようになってから、すごく精神的な負担が大きくなったんです」
定年後、夫婦の距離が急に縮まることで、関係がぎくしゃくするケースは少なくありません。それまでの暗黙のバランスが崩れ、互いの存在を重たく感じるようになるのです。
夫に対して強い恨みがあるわけではありません。感謝している面もあります。ただ、「一緒にいることが苦しい」と感じた今、美代子さんが選んだのは、夫と別々に暮らすという新たな道でした。
「離婚までは今のところ考えていません。2週間に1度は家に行って、夫の様子を見ています。ちょっとずつ家事もできるようになって、彼もちょっと変わってきたみたい。夫婦ですから、お互いに病気になったら看病しようとも話しています。でも、しばらくはこの自由を思いきり楽しみたいです」
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