(※写真はイメージです/PIXTA)

年齢にかかわらず、多くの方が「保険」の加入に悩んでいます。不安に備えれば備えるほど、加入する保険の種類も増え、金額も高くなっていきます。FPが保険加入の考え方について提案・解説します。

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「保険」にはさまざまな用途・目的があり、複雑でわかりにくい

FPである筆者のもとには、資産運用相談のほかにも、多く寄せられている「お金に関する相談」があります。それは「保険」の相談です。

 

資産運用の目的は「お金を増やしたい」というわかりやすいものですが、保険は「万が一のことのために備えたい」「相続税対策をしたい」「お金を増やしたい」など、さまざまな目的で活用できるため、複雑でわかりにくく、自分自身で判断することは簡単ではありません。

 

そのため、保険の販売代理店などの窓口で相談し、適した商品を勧めてもらうことになるわけですが、さて、この行動に落とし穴はないのでしょうか。

「若くして死ぬことになったらどうしよう…」

人生における「不安」のランキングを作ったとしたら、必ず上位に「病気(健康不安)」が登場するでしょう。だれもが病気になる可能性はあるので、「がんになったらどうしよう」「病気で働けなくなったらどうしよう」「若くして死ぬなんてことになったらどうしよう」と思うのです。

 

とくに高齢になるほど健康不安は高まります。周りにも病気になる人も増えていきます。高齢になるほど病気になる確率が上がるからです。

 

病気の治療にはお金がかかるので、病気になったときのお金の不安を減らすために、民間の医療保険やがん保険に入るという選択肢があります。そして、実際に医療保険やがん保険に入っている人は多いです。

 

では、高齢になるほど病気になる可能性が高い(不安が大きい)のだから、高齢になるほど医療保険やがん保険は必要なのでしょうか? 逆に、若い人ほど病気になる可能性が低い(不安が小さい)のだから、若い人ほど医療保険やがん保険は必要ないのでしょうか?

 

実際に、高齢になっても高額な保険料を払って民間の医療保険に加入し続けている人がいます。一方で、病気のことを気にしていない小さな子どもがいる貯蓄のない若い人もいます。いったいどう考えるのがよいのでしょう。

「保険の必要性」について考えてみる

世の中にはさまざまな保険が売られています。生命保険、火災保険、自動車保険など、皆さんも加入しているものもあるでしょう。

 

そもそも保険とは「滅多に起きないけれど、起きてしまったら大変なことになることに備えるためのもの」です。「滅多に起きない」とは、人生において普通は1回も起きないのが当たり前であるような、非常に確率が低いことです。「大変なこと」とは、その後の人生が普通に生活できなくなるほどの損害を負うということです。

 

もし小さな子どもを持つ働き盛りの親が死亡してしまったら、残された家族の人生は大変なことになります。子どもたちが大人になるまでには多額の費用が必要になります。だから、死亡時の保障を得るために生命保険に入るのです。

 

もしマイホームが火事になって燃えてしまったら、住むところがなくなり大変なことになります。建て直すにも多額の費用が必要になります。だから、家を建て直すことができるように火災保険に入るのです。

 

もし運転していてだれかの命を奪ってしまったら、罪に問われるのは当然ですが、多額の賠償金も必要になります。だから、賠償金を支払うことができるように自動車保険に入るのです。

 

ほとんどの人がこのような考えを持ち、これらの保険に入っています。非常に正しい考え方で、理にかなっています。

 

さて、ここからが少しむずかしくなります。たとえば、次のような考え方はどうでしょうか。

 

●病気で入院して窓口で20万円支払うことがある。医療保険は必要だ

●車をぶつけて修理費が30万円かかることがある。車両保険は必要だ

 

改めていいます。そもそも保険とは「滅多に起きないが、起きてしまったら大変なことになる」場合に備えるものです。

 

病気で入院することは「一生に一度も起きないのが普通」でしょうか。車をぶつけることはどうでしょう。20万円や30万円は、その後の人生が大きく変わるほどの金額でしょうか。

 

確かに病気や事故は不安ですし、20万円、30万円は決して少ない金額ではありません。しかし、人生が終わると絶望するほどではないと思います。つまり、医療保険や車両保険は「だれもが入る必要がある保険」とまではいえないということです。具体的には、支払いに困らない程度の預貯金がある人ほど入る必要がない保険なのです。

 

そして、考慮すべきもうひとつの観点は、支払う保険料です。確率が上がるほど保険料は上がります。つまり、医療保険やがん保険は、高齢になるほど保険料が高くなり、若い人ほど保険料が安くなります。

 

貯蓄のある高齢者が、高い保険料を払って医療保険やがん保険に入る必要性は低いのです。一方で、貯蓄のない小さな子どもがいる若い親が、安い保険料で医療保険やがん保険に入る必要性は高いといえるのです。

 

私は50代以上の方に向けたセミナーで保険の話をするときには、「皆さんの年代になってくると、保険よりも現金が大切です!」という話をします。セミナー参加者一人ひとりの事情があるので、実際には個別に判断する必要がありますが、保険に入り過ぎている人が多いので、あえてこのぐらいのインパクトのある表現で伝えるのです。保険を見直すきっかけにしてほしいからです。

 

 

小林 篤典
FP事務所 きずな 所長

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