賃貸マンションを4つに分けて購入、リスク分散も実現
次に検討したのが、売却代金を活かした収益不動産への投資。
ここで重要なのは、「収入を得る」だけでなく、「相続税評価を抑える」効果もある点です。
購入したのは、駅に近く利便性の良いエリアの分譲賃貸マンション4戸。立地や広さを分けて購入したことで、リスクの分散にもなりました。それぞれのマンションには入居者も決まり、毎月安定した家賃収入が松田さんのもとに入るように。
「もし、売却したお金をそのまま預金にしていたら、どんどん減っていくばかりで、老後が不安だったと思います。でも、今は家賃収入があるので、気持ちにも余裕ができました」と、松田さんは話します。
賃貸不動産への組み換えで相続税も大幅減!
この組み換えは、生活の安定だけでなく、相続税の大幅節税にもつながりました。
【対策前の財産】
- 実家(土地+建物):7,600万円
- 預貯金・有価証券:2,700万円
→ 合計:1億300万円
→ 相続税:820万円
【対策後の財産】1億円で購入した区分マンションの評価は
- 賃貸用区分マンション:3,000万円(時価の30%に減額)
- 預金 300万円
- 生命保険:1,000万円(非課税枠内)
- 合計:3,300万円
→ 相続税:0円(基礎控除4,200万円以下)
なんと、相続税820万円がゼロに!
不動産の評価額は、「貸家」として貸し出している場合、時価の70%に減額されます。さらに、マンションの敷地についても「小規模宅地等の特例(貸付事業用地)」を適用し、評価額を25~50%引き下げることができました。
空き家の3,000万円控除の特例(いわゆる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」)を適用した場合の譲渡所得税を計算します。
前提条件
- 譲渡価格(売却額):7,600万円
- 取得費(購入当時の価格など):不明 → 概算取得費(売却額の5%):380万円
- 譲渡費用(仲介手数料など):仮に200万円とする
- 特別控除(空き家3,000万円控除):3,000万円
- 所有期間:長期譲渡(※相続後、すぐ売却)
- 税率:長期譲渡(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%)合計20.315%
譲渡所得の計算
譲渡所得 = 譲渡価格 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除
= 7,600万円 -(380万円+200万円)- 3,000万円
= 7,600万円 - 580万円 - 3,000万円
= 4,020万円
譲渡所得税額の計算
税率 20.315%
税額 = 4,020万円 × 20.315%
≒ 817万円
売買関係の整理
|
内容 |
金額 |
|---|---|
|
譲渡価格 |
7,600万円 |
|
概算取得費 |
380万円 |
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譲渡費用(仮定) |
200万円 |
|
空き家控除 |
3,000万円 |
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譲渡所得 |
4,020万円 |
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譲渡税(約) |
817万円 |
