「価格交渉」ではなく「価値の理解」が成功の鍵
講義のなかでは、M&Aにおける価格交渉の捉え方についても再定義が行われました。多くの人が誤解しているように、「売り手と買い手が互いに譲歩しながら価格を決める」という考え方は、実は本質を捉えていません。
企業価値とは本来、客観的な数字ではなく、非常に主観的なものであり、「誰が経営するか」「どのような資本構成か」「どのような事業との相乗効果が見込めるか」によって大きく変動します。したがって、「この価値を理解し、それを最大限引き出せる買い手」に譲ることで、高値での譲渡が実現するのです。
「高く買ってほしい」と願うのであれば、まずはその価値を理解し、実現可能なポテンシャルを持つ買い手を見極めることが、経営者にとって最も重要な責任であるといえるでしょう。
M&A成功の秘訣は「買い手の質」にある
まとめとして、M&Aで成功するためには、単に価格交渉を頑張るのではなく、買い手の質を見極めることが最も重要です。
経営力、シナジー効果、資本コスト。この3つの視点から買い手を評価することで、譲渡企業の未来をより確実なものにできます。単なる利益相反構造に陥らず、双方にとって納得のいくM&Aを実現するには、主観的な価値に基づいた判断が欠かせません。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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