高額な追徴課税を避けるために…知っておくべき相続の常識
もう一つのポイントとして、この入居費用が「夫が生前に妻のために支払った出費」であるという点が挙げられます。これがなぜ相続税の調査に影響したのでしょうか。
それは、相続が発生する数年前に被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与の分も含めて相続税を計算することになっているためです。
現行制度では、令和5年度税制改正により、この加算期間が順次7年以内に延長されています。今回のケースでは、妻は相続が発生する2年前に贈与を受けており、それを贈与の対象として認識していませんでした。そのため贈与税についても申告しておらず、今回の相続税の計算にも含めずにいたのです。その結果、入居費用である1億円がそのまま相続財産として追加で計算されてしまいました。
このように、生前贈与については、贈与の時点では非課税の金額の範囲内であったとしても、相続税の計算の際には改めてほかの財産も含めて計算することになります。そのため、税額が発生することもあり得るという点に注意が必要です。
家族間であったとしても、大きな金額でのお金のやりとりがあった場合には、身内同士だからこそ、改めて確認をするようにしましょう。とくに夫婦であれば、お財布は一緒という感覚で日々過ごしている家庭も多いため、なおさら意識することが重要です。
今回のような老人ホームの入居費用などについても、契約の際などに権利関係をしっかり確認しておくことをお勧めします。
当たり前のようではありますが、たとえ夫婦であっても、「誰が利用するのか」「誰に帰属するのか」ということをいま一度確認したうえで、契約や支払いをすることを心がけましょう。
木戸 真智子
税理士事務所エールパートナー
税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー
配偶者の預金は?子ども名義の生命保険は?
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