外資系企業に勤めるAさん、リッチな生活が一気に苦境へ
外資系IT企業で働くAさん。都内の有名私大を卒業後、中堅商社に入社し、その後2度の転職を経て、31歳で年収1,200万円に到達。スーツはオーダー、家賃28万円・駐車場付きの1LDK、愛車はドイツ車──誰が見ても順風満帆な人生でした。
就職を機に一人暮らしを始めた当初は、駅徒歩11分の6畳1Kで家賃8万円。節度ある暮らしをしていたAさんですが、昇給と転職で収入が増えるたびに、生活水準も右肩上がりに。「この年収ならこれくらいは普通」と、住まいも服も交際費もアップデートを続けていきました。
移動はタクシーが当たり前になり、週末は話題のレストランで食事。ブランド品や高級腕時計の購入も「資産価値があるから、安物を買うよりいいから」と、迷いはありませんでした。
そしてついに、月々の固定費は50万円超に。そのほかの突発的な支出も合わせると、生活の維持には成果連動型のインセンティブと賞与が不可欠になっていました。収入が高いのに口座残高が30万円を切ることもある……。そんなギリギリの状態が常態化していたのです。
そんな中、Aさんは担当プロジェクトの目標達成に失敗。賞与は前年の半分以下に激減しインセンティブもなし。Aさんにとって、初めてともいえる大きな苦境です。そして、一気に資金繰りが苦しくなりました。
いつも通りの支出に入ってくる金額がまったく見合わず、カードやローンの支払いをリボ払いに変更したり、キャッシングでお金を工面したり……。貯金がないという現実が、ここにきて重くのしかかりました。高収入に胡坐をかいてきた生活のツケが、突然襲ってきたのです。
