(※写真はイメージです/PIXTA)

就職氷河期世代はすでに中高年にさしかかっているが、いまなお不安定な雇用や低収入のなか、苦しい思いをしている人もいる。そしてそんな彼らの親世代には、わが子の厳しい状況を支えようと手を差し伸べ続ける人もいるようだ。だが、親が年齢を重ねていけば…。ある女性の例から、厳しい実情を見ていく。

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独り暮らしの高齢女性、憧れのマンション生活をあきらめたワケ

「子育てって、本当にむずかしいこと…」

 

そういってうつむくのは山田明子さん(仮名・77歳)だ。明子さんは夫を7年前に亡くしてからずっと、横浜市郊外の築古アパートに独り暮らしをしている。転勤族だったという夫は、住む場所にまったくこだわりのない人だった。

 

「お友達から〈マイホームを建てたの!〉〈マンションを買ったの!〉という報告を聞くたび、うらやましい気持ちになりました。でも、どこに住むかは夫が決めたことですから…」

 

夫亡きあとは、夫の遺族年金と自身の年金を合わせた月17万円ほどで、つつましい生活を送っている。

 

「夫が定年退職したら、退職金で夫婦2人で暮らせる小さなマンションを買う話もありました。私は東向きか南向きの、庭がある1階が希望で。そこでお花やハーブを育てたり、お友達を呼んで、手作りのケーキでお茶会をしたり…なんて夢見ていました。でも…」

 

明子さんは顔を曇らせる。夢とかけはなれた暮らしをしているには理由があった。48歳のひとり息子、隆さん(仮名)の存在である。隆さんはビジネス系の専門学校を卒業したが、折悪く当時は就職氷河期。希望の仕事に就くことができず、非正規やアルバイトを転々とし、いまはどうにか自営業をしているが、常に業績はふるわない様子。そんな息子のために、明子さんはいまなお月5万円程度の仕送りを続けている。

 

「〈学校を卒業したら家を出るように〉というのが夫の方針でした。そのため、専門学校を卒業後、アパートに独り暮らしをさせたのですが…」

 

隆さんは就業意欲はあるものの、なかなか収入が上がらない。貯金が底をついた、契約期間終了でブランクが発生した…といった理由で、明子さんのもとにたびたびお金の無心があった。

 

「隆からは、いつもそんな連絡ばかり。でも、夫にそのまま伝えたところで、電話口で怒鳴るだけで解決策にはなりません。別に不真面目な子ではないんです。頑張り屋で、働く気持ちはある。ただ、就職のタイミングが悪かっただけ。だから、せめて最低限食べていけるようにと思って…」

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