【7/17開催】あなたの“仕送り”は大丈夫?
「相続税の税務調査」で指摘されないための正しい知識と対処法
独り暮らしの高齢女性、憧れのマンション生活をあきらめたワケ
「子育てって、本当にむずかしいこと…」
そういってうつむくのは山田明子さん(仮名・77歳)だ。明子さんは夫を7年前に亡くしてからずっと、横浜市郊外の築古アパートに独り暮らしをしている。転勤族だったという夫は、住む場所にまったくこだわりのない人だった。
「お友達から〈マイホームを建てたの!〉〈マンションを買ったの!〉という報告を聞くたび、うらやましい気持ちになりました。でも、どこに住むかは夫が決めたことですから…」
夫亡きあとは、夫の遺族年金と自身の年金を合わせた月17万円ほどで、つつましい生活を送っている。
「夫が定年退職したら、退職金で夫婦2人で暮らせる小さなマンションを買う話もありました。私は東向きか南向きの、庭がある1階が希望で。そこでお花やハーブを育てたり、お友達を呼んで、手作りのケーキでお茶会をしたり…なんて夢見ていました。でも…」
明子さんは顔を曇らせる。夢とかけはなれた暮らしをしているには理由があった。48歳のひとり息子、隆さん(仮名)の存在である。隆さんはビジネス系の専門学校を卒業したが、折悪く当時は就職氷河期。希望の仕事に就くことができず、非正規やアルバイトを転々とし、いまはどうにか自営業をしているが、常に業績はふるわない様子。そんな息子のために、明子さんはいまなお月5万円程度の仕送りを続けている。
「〈学校を卒業したら家を出るように〉というのが夫の方針でした。そのため、専門学校を卒業後、アパートに独り暮らしをさせたのですが…」
隆さんは就業意欲はあるものの、なかなか収入が上がらない。貯金が底をついた、契約期間終了でブランクが発生した…といった理由で、明子さんのもとにたびたびお金の無心があった。
「隆からは、いつもそんな連絡ばかり。でも、夫にそのまま伝えたところで、電話口で怒鳴るだけで解決策にはなりません。別に不真面目な子ではないんです。頑張り屋で、働く気持ちはある。ただ、就職のタイミングが悪かっただけ。だから、せめて最低限食べていけるようにと思って…」