雇用改善の幻想…製造業・建設業の減少が示す「日本経済」の構造転換と「質の低い成長」の罠

総務省『労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)4月分』を紐解く

雇用改善の幻想…製造業・建設業の減少が示す「日本経済」の構造転換と「質の低い成長」の罠
(※写真はイメージです/PIXTA)

一見、堅調に見える日本の労働市場。2025年4月の『労働力調査』では、就業者数・雇用者数ともに増加を続け、完全失業率も低水準を維持しています。しかし、その数字の裏側には、女性とサービス業が牽引する雇用の回復という側面と同時に、製造業や建設業といった日本の基幹産業が軒並み減少しているという「歪み」が隠されていました。

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    女性とサービス業がけん引、正規雇用の底堅さ

    2025年4月の労働市場は、引き続き改善傾向を維持しています。総務省が発表した最新の『労働力調査(基本集計)』によると、就業者数は前年同月比で46万人増の6,796万人となり、33ヵ月連続の増加を記録しました。また、雇用者数は6,151万人と、同64万人増で38ヵ月連続の増加。完全失業率(季節調整値)は2.5%と、前月と変わらず低水準を維持しています。

     

    この数字だけを見ると、日本の労働市場は盤石な成長基調にあるようにも見えます。しかし、細部に目を向けると、ポジティブな変化の背後には、今だ解決されていない構造的課題が潜んでいることがわかります。

     

    今回の調査結果で注目されるのは、女性の就業増とサービス業の回復です。女性の就業者数は前年同月比で36万人増の3,098万人となり、男性の増加幅(9万人)を大きく上回りました。就業率でも、15~64歳の女性が74.7%と、1.1ポイントの上昇を記録し、男女差の縮小が見てとれます。

     

    また、産業別では「医療、福祉」「サービス業(他に分類されないもの)」「教育、学習支援業」などが堅調でした。特に医療・福祉分野では前年同月比で27万人増と、全産業中でもっとも大きな伸びを示しています。高齢化社会における安定した需要が背景にあると考えられます。

     

    正規の職員・従業員数は3,709万人(前年同月比+43万人)と18ヵ月連続で増加、非正規は2,101万人と4ヵ月連続の増加となりました。役員を除く雇用者に占める非正規割合は36.2%で前年同月と同率。雇用形態の比率は依然として大きな変化は見られないものの、正規雇用の堅調さはコロナ禍以降の雇用の質的回復を裏付けています。

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