(※写真はイメージです/PIXTA)

難関資格といわれる公認会計士の主な就職先の一つとして、監査法人があります。監査法人とは主に企業の財務諸表監査を行う法人です。しかし、監査法人に就職したものの数年で転職に至るケースは少なくありません。本記事では、自らも公認会計士として監査法人で働いていた経歴をもつ石割由紀人氏の著書『公認会計士&税理士のための スタートアップ支援税務のススメ』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集し公認会計士のキャリア選択について詳しく解説します。

公認会計士はキャリア選択肢が幅広い

現在は、私と同じように(監査法人を退所して別の監査法人へと転職するのではなく)、監査以外の業務に携わるようになった公認会計士と交流して、いろいろと話を聞く機会も増えました。特に、スタートアップ支援に関わりたいと考えている会計人が集まる交流会やイベントには積極的に参加して、情報交換をしています。すると、監査法人に入所後、私と同じような監査業務に対するモヤモヤとした疑問や違和感を持った公認会計士が、少なくなかったことが分かりました。

 

私の場合はもともと独立志向があったことが大きな要因となりました。さらには、監査法人で株式上場支援業務を担当していたことから、スタートアップに関わる領域に進みたいという気持ちがあったので、その方向へと舵を切りました。

 

公認会計士の監査以外のキャリア選択は多種多様です。

 

監査という立場で経営をチェックするのではなく、直接経営にコミットする仕事がしたいというのがキャリア変更の主な理由であれば、まずスタートアップなど事業会社の経営企画部、CFOなどへの転職が候補になります。また、会計・財務系や事業戦略系のコンサルティングファームに転身する道もあります。

 

監査法人よりも高い収入を求めて転職を希望する人ももちろんいると思います。そういう人は、外資系の投資銀行や、大手M&A仲介会社などへの転職が多い印象があります。

 

他方、監査法人でも以前のような長時間労働は減っていますが、それでも年度末などの繁忙期には、それなりに残業が続くことがあります。そのため、収入の多さよりもプライベートの時間を大切にした、ライフ・ワーク・バランスの取れた働き方を望む人もいます。

 

そういった人は大手事業会社の経理部門へと転職したり、大手の税理士事務所に転職したりするケースが多いようです。大手企業、特に上場企業は通常、コンプライアンスを重視しており労働時間をしっかり管理しているので、ライフ・ワーク・バランス重視の人には向いているといえます。

 

また、独立志向が強く自分で会計事務所を開きたい人も一定数いると思います。その場合は、税務申告の仕事ができないとどうしても仕事の幅が狭くなります。しかし、監査法人で働いていても税務申告の仕事をすることはありません。そこで、すぐに開業するのではなく、税務の仕事を勉強するために、税理士事務所に勤める人は少なくありません。

 

近年では、公認会計士専門のマッチングプラットフォーム(ブリッジコンサルティングの会計士・JOBなど)も増えています。開業という形ではなく、マッチングプラットフォームを活用しながら、いわゆるフリーランスとして独立して働く公認会計士も増えています。

 

ほかにも、より公的な仕事に関わりたい場合は、地方自治体や官公庁、証券取引所などの公的部門での会計や経理業務もあります。また、会計とは関係のない非営利法人で社会貢献的な仕事や会計教育に関わる仕事を選ぶ道もあります。

 

 

 

石割 由紀人
Gemstone税理士法人 公認会計士
税理士
資本政策コンサルタント

 

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※本連載は、石割由紀人氏の著書『公認会計士&税理士のための スタートアップ支援税務のススメ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

公認会計士&税理士のためのスタートアップ支援税務のススメ

公認会計士&税理士のためのスタートアップ支援税務のススメ

石割 由紀人

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